SCENE 15: 太陽が昇るころ。刻印される、ひととき
KUMARAKOM, KERALA, OCTOBER 30, 2004

闇に閉ざされた朝の部屋の、カーテンを開く瞬間。
まだ昇らぬ太陽の、控えめな光が差し込んでくる。
窓を開いて外に出ると、ひんやりと湿気を帯びた空気。
闇と光の境目の、微妙な色をした空。と、それを映す湖。

朝の眺めはもう、昼間のそれとは比べものにならないほど。

この場所だけの、このひとときだけの、もの。


10月30日(土)

■早く起きて、外を歩く。

早朝の空気というのは、本当にいいものだ。

ワシントンDCの、我が家界隈の朝も気に入っているけれど、この地の朝のすばらしさは格別だ。

多分、それがどんな場所であっても、早朝は、その場所の一番すばらしい表情を見せてくれるものだと思う。

服を着替えて外に出る。あちこちから聞こえてくる、さまざまな鳥の鳴き声と、そしてやはり、牛の鳴き声。もう、ひたすらに、のどかだ。

今日は朝8時半から、ボートでバックウォーターのツアーに出かけることになっている。それまでは、あたりを歩き、朝食をとる。


向こう岸に、わたしたちのコテージ。夫がヨガをやっている。
彼の名前を呼びながら大きく手を振ったら、
隣室の男性二人が「お〜い!」と手を振りかえし、夫は気づかない。

日が昇りはじめたころの、テラスからの眺め。

湖畔にポツポツとコテージやヴィラが並んでいる


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