坂田マルハン美穂のDC&NYライフ・エッセイ

Vol. 89 1/17/2003

 


すでに年が明けて半月もたっていました。新年のあいさつを述べるにはすでに遅すぎる気もしますが、みなさま、明けましておめでとうございます。

遅ればせながら、今回は冬の休暇のことなどを記そうと思います。軽く流すつもりが、相変わらず長めになってしまいました。

 

●カリブ海に浮かぶ島。グランド・ケイマンで過ごす年末。

12月24日から30日までの6泊7日、A男と二人でカリブ海に浮かぶグランド・ケイマンという島に行った。

ちなみにグランド・ケイマンとは……

・米国南東端のフロリダ州のマイアミ空港で乗り継ぎ、空路1時間強。

・米国とは事実上国交のない社会主義国キューバを飛び越えたところに浮かぶケイマン諸島(三つ)の一つ。

・英国領。通貨はケイマン・ドル。

・そもそも無人島だったが、16世紀ごろ、難破船の船員や海賊が住み着き始めたらしい。

・サンゴ礁に囲まれ、「カリブの宝石」と呼ばれる。ダイバーのメッカとして有名。

・特産品はラム酒。およびラム酒を使った各種ラムケーキ。

・海では色とりどりのサンゴや魚のほか、カメやエイが見られる……

といった特徴のある島だ。

休暇の計画を立てるのが遅すぎて、第一希望だった「インド・ニューデリー帰省」が不可能になり、「南の島のどこかに行こう」と決めたものの、オンシーズンとあって、どこもここもいっぱいで、結局、ほぼ選択肢なく、旅行代理店の女性に勧められるがまま、グランド・ケイマン行きが決まった次第だった。

今回の旅ほど、A男とわたしの間で満足度が違ったことはなかった。A男にとっては、この上なくすばらしい、そしてわたしにとっては、「……」な旅だった。

そもそも、全てはわたしの軟弱な三半規管のせいだ。これさえ人並みに頑丈だったらば、わたしだってシュノーケリングはおろか、スキューバダイビングだって試みたのに。

ちなみにシュノーケリングとは、海面を漂いながら、水中を見て楽しむもので、マスク(水中メガネ)、シュノーケル(長さ30センチほどの空気を吸う管)、フィン(足ひれ)の3点セットが必要である。

一方、スキューバダイビングとは、全身を覆うゴム製のウエアを着用し、酸素ボンベを背負って深海に潜る、いわば技術の必要なスポーツである。

出発前の週末、A男は近所にあるダイビング用品専門店で、度入りの水中メガネを購入するなど(普段、メガネを着用しているため)、すでに気合いが入っていた。わたしは現地に着いてから、もしもやりたくなったら買うことにした。

凍て付く寒さの24日朝。しかし、わたしはダウンジャケットの下にTシャツ、麦わら帽子という出で立ちで、空港へ向かう。ジャケットを脱げば、即、南国対応である。

グランド・ケイマンに到着し、ホテルにチェックインし、レンタカーを借りる。ちなみにホテルはキッチン付きのコンドミニアムを予約していた。海に面したホテルはどこもいっぱいで(ものすごーーーく高いホテルは空室があった)、道路を挟んで海沿いのホテルしかなかった。「窓を開ければ海!」というロケーションが望ましかったが、仕方ない。

海の様子を見るために、レンタカーで島を走る。米国からの旅行者が多いせいか、うっかり右車線を走ろうとする車が多くて、結構危ない。慣れるまで、無闇にワイパーを動かしたりして何かと気ぜわしい。

予想していたことではあったが、海は清らかに透き通っていて、それはそれは美しく、徐々にのどか〜な気分になる。ホテルの林立するエリアを離れると、人気のない、静かな砂浜が随所に現れる。

地図には、ダイビングスポットがいくつも表示されている。少し沖へ出れば、サンゴ礁や魚の群に出合えるという。

砂浜の海辺では、魚の群に出合うためには、沖の方へ出なければならないが、「エデンロック」と呼ばれる岩場では、海に入らずとも上からのぞき込むだけで、鮮やかな赤い魚、青い魚が泳ぐのが見える。ここならば、ちょっと潜っただけで、いろいろな魚が見られそうだ。「潜ってみたい!」という気持ちが激しくそそられる。

 

★シュノーケリング三点セットを購入。潜ってはみたが……

通りすがりのスポーツ専門店で、幸運なことにシュノーケリングセットの半額セールをやっていた。A男は青いシュノーケルとフィンを、わたしは黄色いシュノーケルとフィン、そしてマスクを購入する。せっかく来たのだもの。海辺でぼんやりするのもいいけれど、やっぱり潜るべきよね。と決意して。

その日、クリスマスイブをシーフードレストランで過ごす。海辺のホテルやショップは美しいネオンで彩られていて美しい。が、暖かいのでクリスマスだという気分がしない。

翌朝、早速、エデンロックへ行く。わたしたちのほかに2組ほど、シュノーケリングをやっているグループが来ていて、みんなプカプカと海に浮かんでいる。

三点セットを身につけたわたしは、恐る恐る海に入る。A男は泳ぎが得意だが、わたしはプールでは泳げるものの、足の届かない深い海には慣れてなくて、恐怖感がある。今思えば「浮き輪」を持っていけばよかったのだが、誰も浮き輪を持ってシュノーケリングをしていないし、そんなことは思いつきもしなかった。

ともかく、潜った。

するとどうだろう! 手の届きそうなところで、色とりどりの魚が、スイスイと泳いでいるではないか! 深紅の魚、ブルーの魚、虹のような柄を持つエメラルドグリーンの魚……。すごい! きれい! もっと見たい! と思うのだが、同時に激しいめまいが襲ってくる。

3分もしないうちに、具合が悪くなってきて、海中にいることが耐えられなくなる。岩場の随所にくっついているウニが身体に棘に刺さらないように、じわじわとよけながら、陸に上がる。

朦朧としながらも、「このウニはおいしいのだろうか」と、それが気にかかる。

陸に上がった後は、激しい頭痛と吐き気で気分が悪い。岩場に腰を下ろし、カニが走り回るのを眺めながら、ああ、どうしてこうなのだろうかと悔しさが募る。

朦朧としながらも、「このカニはどんな味だろうか」と、それも気にかかる。

A男は30分ほど、あちこちを泳いで、さまざまな魚の群に出合ってきたようだ。すごくきれいだったと興奮しながら説明してくれる。見られないのが実に残念だ。

この件以来、やはり当初の予定通り、わたしは海辺で本を読んだり、文章を書いたりして気ままに過ごそうと決めた。せっかく三点セットを購入したのだが仕方ない。

 

★ラム酒を飲みながら、波音を聞きながら、木陰でのんびり……

昼間、ほとんどの時間は、海辺で過ごした。レンタカーを駆って、静かできれいな海辺を探す。気に入った海辺を見つけたら、木陰に椅子を並べる。A男は日毎に海になれていき、どんどん沖の方まで行ってしまう。

「シュノーケリングの際、沖へ一人で行くのは危険だから、必ず二人で行くように」とガイドブックなどには書いてあるけれど、仕方がない。

万が一のときを考えて、わたしは、監視員の役割も果たさなければならない。無論、トラブルが発生したとしても、助けに行けないのが難ではあるが。

本を読んでいても、文章を書いていても、数分おきに水平線に視線をやる。はるか彼方の波間に漂うA男の頭を見つけだすのは簡単ではない。

双眼鏡でも買えばよかったのだが、あいにく持ち合わせていなかったので、思い切り目を凝らす。結構、集中力がいる。あまりリラックスできない。しかもビールやラム酒で酔いが入っているから、キラキラと輝く水面を見つめているうちに、クラクラしてくる。

A男はといえば、沖まで出るとサンゴ礁がきれいで、いくつもの魚の群に囲まれて、ともかく楽しいからと、毎回1時間以上は海に漂っている。

「大きなカメといっしょにしばらく泳いだよ」

「サンゴ礁の影から突然、ロブスターが出てきて驚いたよ。ハサミはなかった」

「大きなウナギ(ウツボ)がいて、気持ち悪かった」

「エイの親子が通り過ぎていったよ」

「黄色い魚に腕をつつかれてビックリした」

「大きな魚にいつまでもいつまでも追いかけられてちょっと怖かった」

海辺に戻ってくるたびに、あれこれと説明してくれる。海の中にはさまざまな生き物がひしめいていて、本当に楽しそうである。

 

★スティングレー・シティーへ。シュノーケリングのボートツアーに参加する。

スティングレーとはエイのことである。グランド・ケイマン名物の魚(?)だ。A男がどうしても「美穂と一緒に参加したい」と主張するので、やむなくエイを見にゆくボートツアーに参加することにした。

わたしは「酔い止め」にジンジャーをかじり(普通は効くらしい)、酔い止めのつぼ刺激リストバンドをし、ランチも軽めにし、万全を期して参加した。一応は三点セットも持参したが、シュノーケリングをせずとも、ボートで待機していればいいと思ったのだ。

ボートは2箇所のサンゴ礁に止まって参加者にシュノーケリングをさせた後、エイがたくさんいるというエリア「スティングレー・シティー」に停泊するという。

その日はいつもより風が強かった。少々いやな予感がしたが仕方ない。20名ほどの観光客と共に、ボートに乗り込む。海は鮮やかなブルーだったり、エメラルドグリーンだったりして、それはそれは見事な美しさだ。水面を渡る風を全身に受けながら、大海原を滑るのはとても気分がいい。

ボートが動いているうちは、気分は上々、ご機嫌だった。

ところがどっこい。一箇所目のポイントで船が泊まった途端、悲劇が始まった。

上下左右にグワングワンと激しく揺れる船体。一瞬で意識が遠のく坂田。それからのことは、詳しく書くに忍びない。ともかく、今、思い出すだけでも頭痛がしてくるほど、それは過酷な拷問であり地獄だった。本当に、このまま意識を失うんじゃないかと思うくらいに、辛かった。

何ゆえに、わたしは、こんな目に遭わねばならないのだろう。わざわざお金まで払って。みんな楽しそうに海に潜っているのに、わたしは……。

ともかくも、船は最後のポイント、スティングレーシティーに到着した。わたしの有様を見かねた陽気なインストラクターが、

「船の中より海中のほうがまだましだから、一緒に海に出よう。ここは浅瀬だから足も届くし大丈夫だよ」

と、意識朦朧のわたしの手を引いて海に入った。

ところがどっこい。足はぎりぎり届くものの、波が高くてじっと立ってはいられない。プカプカと浮かぶことすらできない。

「波のリズムに合わせて、ジャンプし続ければ大丈夫さ!」

と、陽気なインストラクターは言うけれど、わたしはジャンプするエネルギーもないのだ。ということを伝えるエネルギーもない。

しかも足もとには、フニャフニャ・スイスイと泳ぐエイがうようよしている。うかつに着地したら踏んづけてしまいそうで怖い。エイの逆襲が怖いのではない。エイの尾にはスティング(針)があるからこそ、「スティングレー」と呼ばれているのだ。それに突き刺さったら痛いじゃないか。

エイなど見たくはないわい! わたしを島に返して! わたしは心の中で泣き叫んでいた。

みんなはイカの切り身をエイに食べさせ、キャーキャー歓声を上げながら大騒ぎしている。わたしを連れ出したインストラクターはわたしのことなど忘れ、両手でエイッとばかりにエイを捕まえては、みんなに触らせたりしている。

「ワオ! スライミ〜!(ぬるぬるしてる!)」

そんな女性らの嬌声が聞こえてくる。A男はどこかで楽しんでいるのだろう。姿は見えない。

わたしは波間に漂っていることさえも耐え難くなり、しかし船に戻ろうにも、泳ぐ気力がなく、もはや絶体絶命である。途中、誤って海水を飲み込み(塩辛いのなんの)、大いに咳き込み、本当に、死ぬかと思った。しかしこんなところで、エイと人間にまみれて死んでは洒落にならん、とも思った。

息も絶え絶えに、船から放られている「救命浮き輪」を目指して泳ぐ。何とかしがみつき、しばらく放心する。放心しながらエネルギーを充填する。

救命浮き輪のロープを辿って、全力を振り絞って、ついにボートに這い上がる。そしてトドのように無様な姿で、甲板に横たわる。もう、二度と、二度と、こんなバカなまねはしない。もう、二度とボートになど、乗るものか! 

……さらっと書くつもりが、結構ディテールまで書いてしまった。ともかく、辛かった。

翌日、ほとぼりのさめたわたしに、A男はエイについて語り始める。餌付けされているエイたちは、A男の与えるイカを、A男の手からカプッと食べるのだという。

「エイはソフトて、ジェントルで、かわいかったよ〜」

わたしがどれほど忌々しく、苦々しく、その話を聞いたかは言うまでもない。

 

★いい休暇だった。には違いないのだけれど……

その他、グランド・ケイマンではタートル・ファーム(カメの養殖場)を見学したり、島内をドライブしたり、街で土産物屋を散策したり、スーパーマーケットで買い物をして食事を作ったり……、とまあ、あれこれ楽しかったには楽しかった。

しかし、A男の

「ぼくは、この次はダイビングをやるよ」

「また来たいね」

「このホリデーは最高に楽しかった」

というコメントには、どれ一つとして同意できない。複雑な後味の残る、苦み走ったホリデーとなった。三半規管問題は、生涯解決しないのだろうか。海はわたしに、似合わないのだろうか。返す返すも無念である。

 

●常夏の島から、新年は極寒のニューヨークへ!

なにゆえに、と思わないでもないが、冬休みをフルに楽しもうというわけで、30日にカリブ海から戻り、31日大晦日をワシントンDCの自宅で過ごした後、1月1日の年明け早々、4泊5日の予定で今度は車でニューヨークへ行った。

途中から、「なぜに?」と問いたくなるほどひどい雨になる。というより嵐だ。ワイパーをフルにブンブンきかせても追いつかない状況に、しばしば陥る。

そんな悪天候にもかかわらず、巨大なトラックが更に追い打ちをかけるように、猛烈な水しぶきを上げながら、猛スピードで擦り抜けていくこと一度や二度ならず。そのたび、3秒ほど視界ゼロになる。

雨の日くらいはゆっくり走ってほしいものよ。それでも予定通り4時間半で到着したからまあよかった。

滞在したのは、カーネギーホールの向かいにある「パーク・セントラル」。リーズナブルなツーリストホテルだ。セントラルパークにも歩いていける便利なロケーションが気に入っている。

今回は、特に計画を立てずに行ったのだが、映画館に行ったり(「CHICAGO」を見た。とても楽しめた)、以前母と妹と見に行ったミュージカル「AIDA」をA男に見せたくて、もう一度見に行ったり、紀伊國屋書店で日本の本を買ったり、寒さに震え上がりながら五番街を歩いたり、デパートをうろうろしたり、友人と食事をしたり、郊外の友人宅を訪れたりと、天候が今ひとつだったわりには、毎日、楽しく過ごした。

A男は日本人経営のサロンで散髪したり、わたしはSHIZUKAさんのところでフェイシャルをしてもらったりもした。

さらには今回、コリアタウンに新しくできたスパでマッサージやサウナも楽しんできた。マッサージを予約すれば、ジャクジーのほか、ミストサウナ(霧がふってくる)や普通のサウナ、シャワーやバスなど自由に使えるのだ。

開店したばかりのせいか、設備が清潔なのがいい。カウンターには冷たい水や切ったばかりのフルーツが用意してあり、自由に口にすることができる。

わたしとA男は予約を夜に入れ、貸し切り状態で利用した。マッサージには、いろいろなメニューがあるが、わたしたちはお気に入りの「ストーンマッサージ」をしてもらうことにする。身体にオイルを垂らし、温めた滑らかな石でマッサージしてもらうのだが、これがもう、たまらなく気持ちいいのだ。

時間が遅かったせいか、従業員は客1人に付き2人がかりでマッサージしてくれるので、なんだか得した気分になる。

が、コリアン従業員はともかく「おしゃべり」な人が多いのが難。ネイルサロンなどでもそうなのだが、彼女らは本当にとめどなく大声で、多分世間話なんだと思うけど、話し続けるのだ。

さすがにスパでは「小声で囁くように」話していたけれど、たとえ囁くようであってもうるさいにはうるさい。静かにしてもらうおうかとも思ったけれど、二人がかりでやってもらってるしなあと思い我慢した。が、次回行くことがあれば、あらかじめ、「静かにお願いします」と頼んだ方がいいかもしれない。

ちなみにオイルマッサージは基本的に「素っ裸にタオルを巻き付けて」ベッドに横たわることになる。しかし、気付いたときに、タオルはベッドにずりおちていて、ほぼ全裸状態である。

従業員はみな女性だし、わたしはちっとも気にならないが、同じ部屋でマッサージを受けたA男は、ともかく「落ち着かなかった」らしい。

「最初はタオルを巻いてたのに、気が付いたらタオルが落ちてたんだよ。恥ずかしいけど手で隠すわけにもいかないし……。ああ、下着をはいておくべきだった……」

と後悔していた。気になって、あまりリラックスできなかったようだ。見られるのに抵抗がある場合は、このような全身のオイルマッサージはやめた方がいいかもしれない。

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JUVENEX SPA

25W. 32nd St. 5th Fl.
646-733-1330

http://www.juvenexspa.com/

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そして最終日の日曜。昼頃、ホテルをチェックアウトして、曇天の中、ジョージワシントンブリッジを渡って、日系スーパーマーケットのミツワへ。ここで大量の食材を購入したあと、帰路に就くのだ。

今回もまた、米をはじめ各種和風調味料、豆腐、コンニャク、おいしい日本のカボチャ、大豆モヤシ、大根、薩摩揚げ、それに各種魚や地鶏(ここの地鶏は脂身が少なくてなかなかにおいしいのだ)、薄切りの豚肉や牛肉、生で食べられるオーガニックの卵(アメリカで普通に売ってる卵は賞味期限が著しく長く、生で食べられない)など、ともかくあれこれと購入する。

あと刺身も新鮮な物があったので、カンパチやハマチなど、夕食用に好みのものだけを少しずつ買った。

さらに店内にある「イタリアン・トマト」でランチを食べた後、道中のおやつにと大きなエクレアを一つだけ買う。

車を一路、南へ走らせる。最初は快調に進んでいたのだが……夕方から吹雪。猛烈な吹雪。視界が悪く、道路も車線が見えず運転しづらいことこの上ない。にもかかわらず、途中でヘッドライトの片方が切れて片目となる。

ガソリンを入れるのにも凍え、トイレに行くのにも凍え、年末のカリブ海が幻のようだ。しかしまあ、どうしてこうも、わたしたちは行き帰り共に「悪天候」に恵まれていることよ。

途中のサービスエリアでカフェラテを買い、車の中でエクレアを半分ずつ食べる。チョコレートとクリームのほどよい甘さが身に染みる。買っておいてよかったとしみじみする。

道中、追突事故を起こしている車、路肩へ滑り落ちている車、雪の降り積もった中央分離帯(といってもかなり広い、緩やかな凹状態の中央分離「地域」)にやはり滑り落ちている車など、5、6件の事故を目撃。なかなかにすさまじいものがあった。

しかし、雪の積もった木々は美しく、それなりの風情があった。結果的には、時速40〜60マイルののろのろ運転で、6時間以上もかけて帰宅した。へとへとになりつつも、大荷物を車から部屋までカートで運び入れるなど、労働をこなす。

家に入るなりお米を研いで、電気釜のスイッチ(早炊き)を入れ、購入した食料を冷蔵庫などにしまい込む。

熱いシャワーを浴びた後、インスタントの味噌汁を入れ、刺身を切り、あつあつのご飯で食卓を囲む。シンプルな夕餉だったが、なんだかとてもホッとして、おいしくて、しみじみとした。

こんな風にして、わたしたちの冬の休暇は幕を閉じた。天候のメリハリが、実に激しい休暇だった。

(1/17/2003) Copyright: Miho Sakata Malhan

 


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