坂田マルハン美穂のDC&NYライフ・エッセイ

Vol. 91 2/10/2003

 


今日もまた雪が降っています。この冬は本当に雪が多いようです。

そろそろメールマガジンを書こう、と思ってコンピュータに向かったものの、今日はなんだかテーマが浮かぶばかりで頭がまとまりません。とはいえ、まとまらないからとまた先延ばしにしていると、超長編になったりするので、それも好ましくありません。

書きたいことはあれこれ出てくるのですが、いったいどれがいいのやら。読者層も、読者の住んでる場所もバラバラだから、結局は何も考えずに自分の書きたいことを書けばいいとも思うのですが、今日はどうにも絞り込めないので、「こんなアイデアがあるのだが」というダイジェスト版をお送りします。

こんなの読んでも仕方がない、とおっしゃるなかれ。たまには、みなさんはどういうものを読みたいのか、反応を得られればとも思います。

ところで、一時期は「日記的」なことを盛り込んだ、「エッセイ&ダイアリー」として発行してきたこのメールマガジンですが、今後「日記的なこと」は排除していこうと思います。というのも、1年前からホームページで毎日、日記を更新しているので、同じようなことを改めて配信することもないと思えたからです。

 

A男ファンの読者も多くて、彼が登場するのを楽しみにしているというメールもいただくのですが、今後、メールマガジンにはあまり出てこないと思うので、「日記的」なものに興味のある方は、こちらの会員制「サロン・ド・ミューズ」へどうぞ。ほぼ毎日、A男が登場してます。

http://www.museny.com/mihosakata/msmhome1.htm

会員制といっても、別に入会金を取ったりする訳じゃありません(当たり前ですが)。くどいアンケートにお答えいただいた方に入り口のURLをお知らせしています。

ところで、今週の金曜から10日間ほど南仏へ行きます。

カンヌで行われるIT関連のカンファレンスにA男が参加するのですが、それにわたしが便乗するのです。わたしにとっては丸ごとホリデー。久しぶりのヨーロッパなのでうれしいです。

カンヌやニースなどプロヴァンス地方をうろうろとしたあと、列車でスイスのジュネーブまで行き、A男の知り合いの家などを訪ねつつ、チューリヒまで行って戻ってくる予定です。

ヨーロッパはそれぞれの国が小さくて、車や列車でちょっと走ると違う国にたどり着くのが楽しいものです。景色も言葉も文化も食事も、くるくると変わっていくのが本当に楽しい。アメリカ合衆国は広すぎて、走れど走れど、アメリカですから……。

 

●スペースシャトル・コロンビアで7名が死亡。人の種類と死の種類について思うこと

うちの斜向かいにある国立大聖堂で、先日、コロンビア乗務員の追悼礼拝が行われた。中に入れないのはわかっていたが、行ってみた。テキサスやルイジアナ、テネシーなどのライセンスプレートをつけた自動車が駐車されている。ずいぶん遠くから、車で来た人達がいるものだ。

当初の発表通り、左翼のタイルが剥がれ落ちたことが爆発の原因ならば、防げた事故だということになるだろう。世界は、「危険と背中合わせ」で、「見切り発車」に満ちていると、改めて思う。世界中の注目を集めるスペースシャトルですら、無茶をして飛んでいる可能性があるとするならば。

毎日「つつがなく」生きていること自体が奇跡のように思える……

 

●ブッシュはフセインに「ゲームは終わった」と息巻き、テロ警戒レベルがオレンジに

一昨年の9/11以降、身近にいろいろな「危険要素」が蔓延しているらしい昨今。テロの警戒レベルがまた高まったが、「気をつけるように」「しかし過敏にならずいつも通りの生活を」との指示だけで、何をどうしていいのかわからない。

だんだん、こういう事態に鈍感になっていく。ときどき、自分が毎日、どこを見つめていればいいのかわからなくなる……

 

●肥満者天国アメリカ合衆国。カロリー超過多な食生活の行方

ドクターが「アメリカ国民の60%は肥満である」と、「痩せ薬」のコマーシャルで言っている。奇しくも先日、ベストセラーだという「写真で見るカロリーブック」を書店で見つけ、あまりの衝撃に購入したばかりだった。

ファストフードや菓子類が高カロリーなのはわかっていたが、ニューヨーカーの朝食定番である一見軽そうに見えるベーグルやスコーンの恐るべき「重さ」を知り、愕然とする。どっしりとした、ブルーベリーやコーンでおなじみのマフィンなどはもってのほか、である。

「マクドナルドのハンバーガーを食べすぎて太った」とマクドナルドを訴えていた人が、先日、敗訴した。「あたりまえじゃん」と思っていたが、「たった1切れ」が成人が一日に必要なカロリーに匹敵するほどのケーキなどが存在すること自体も、問題なのではないかと思い始めてきた……

http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/1579542417/103-5758916-6659042?vi=glance

 

●日本の、まるでブームのような北朝鮮報道について、素朴な疑問

読売新聞と日経新聞の衛星版、平日午前10時から1時間放送されるフジテレビ系の報道番組(スーパーニュース)、そしてインターネットで見る朝日新聞の記事、以上が、ワシントンDCにいながら、私が毎日得ている日本の情報源である。

スーパーニュースは毎日見ているわけではないが、ここしばらく、見るたびに北朝鮮の報道がされているのが不思議でならない。なぜに毎日? しかも今日は1994年に米国の調査団が訪朝した際の古い映像が延々と流れていた。

さらには、ニュース番組だというのに、なぜ「アナウンサー」ではなく「声優」みたいな人が、「スリルとサスペンス」な口調でしゃべるのか。それともあれはワイドショーなのか。

いや、たとえワイドショーであっても、「ニュース的」な事柄を、ドラマ仕立てに報道するのは、問題があるのではないか。あのしゃべり方を聞くと、無性に苛々する。報道の内容云々以前に、内容に信憑性が感じられない……

 

 

●年を追うごとに幼稚化していると感じるのは気のせいか。日本の「女の子至上文化」

去年、日本に帰国したとき、デパートで驚いたのは、地下の食料品店に続いて女性の下着売場だった。花柄・パステルカラー・レースヒラヒラ……。一方、アメリカで最も人気のある下着メーカー、「ヴィクトリアズ・シークレット」には、そんな「子供っぽい」下着は見られない。

下着の好みに善し悪しをつける必要はないので、あくまでもこれは「女の子っぽいのがいい日本」の一例である。

最近、断片的に得る日本の情報から察するに、「キュート」で「キャラクター」ぽくて、キティちゃん的な世界が幅を利かせている気がするのは気のせいか。

わたしが単に大人になっただけなのか? いや違う。今のわたしから見ても、山口百恵や南沙織は18歳でもすごく大人っぽかった。年々、日本の「さまざま」が幼稚化していて、久しぶりに見ると気味が悪いくらいだ……

 

●コリアンスーパーマーケット。若きマネージャーの「一生懸命」

我が家から車で30分強、ヴァージニア州のフェアファックス郡に昨秋、「スーパーHマート」というアジア系のスーパーマーケットがオープンした。オーナーはコリアンだ。1982年にNY州で一号店をオープンして以来16店舗を展開している「ハナルン」というスーパーマーケットの系列店だが、従来とは違って「アメリカ人」もターゲットにしている。コンセプトは「プレミアム・ワンストップ・ショッピングセンター」。

『muse DC』で紹介しようとマネージャーにインタビューした。彼は多分30歳前後であろう若い男性。わたしが渡米したのと同じ、1996年に彼も韓国から来たらしい。ニュージャージーのハナルンでレジの袋詰めから始めて、7年後の今、去年の年末オープンしたこの店のマネージャーとなっている。

「アメリカでは、がんばれば、ポジションが順々に上がっていく」と言いつつも、仕事の大変さを言葉の端々ににじませる。

「店の管理をしていくのは大変なことばかりだけれど、一番大変なのは人材管理。コリアンを中心に、チャイニーズやラテンアメリカンなど100名を超えるスタッフを上手くマネジメントすることが課題。人は機械じゃないから……」

『muse DC』の仕上がりを渡しに行った日も、忙しそうに店内を駆け回っていた……

 

●『muse DC』の配達を完了した。たった1枚だとすぐに終わってしまう。

20ページ、10,000部だった『muse new york』と比べると、ペラ1枚3,000部の『muse DC』配達は「楽勝」の一語である。全く労働力が違う。車を使わずとも、何度か外出の都度、バッグで運んで配達したら、あっと言う間に終わってしまった。

こういうとき、昔コマーシャルで流れていたコピーを思い出す。

「人間、鍛えればバネになる」

DCにはニューヨークみたいにフリーペーパーがないし、店の人も親切で、とてもいい感じ。友人知人らもいろいろとアイデアをくれて、これまでDC生活に今一つ踏み込みが浅かったわたしも、少々積極的な姿勢を見せ始めている……

 

●ターゲットはアメリカ人の60%! 日本の食品業界、アメリカ進出を!

前述の「スーパーHマート」では、米国の一般的なスーパーマーケットにはないアジアの野菜や新鮮な魚介類、加工食品などが多彩に揃っている。日本の納豆だけでも20種類以上もある。

この1カ月、主に「スーパーHマート」で仕入れた食品で料理をしているのだが、「ヘルシーで低カロリー」しかも「おいしい」食卓を実現しやすくなった。当たり前のことだが、どんな食材を仕入れられるかで、食生活が激変する。

日本はレストラン業界だけでなく、食品業界全体で、「ヘルシーで低カロリー」な素材、料理など、米国に売り込みをかければいいのにと思う。

「日本人を対象とした日本食料品店」じゃなくて、「アメリカ人を対象にした日本食料品店」である。ターゲットは米国の国民60%! 

(2/10/2003) Copyright: Miho Sakata Malhan

 


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