August 31th., 2003 食を演出する物らの、なんと魅惑的なことだろう!

Sur La Table。キッチン用品の専門店。大好きな場所。一度はいると、なかなか出られなくなる場所。
トスカーナの太陽みたいな、オリーブオイルの陶製ポット。Made in Italia
赤やブルーやグリーンや、頑丈で、重たくて、だけどチャーミングなLe Creusetの鍋。Made in France
やっぱり色とりどりで、フランス国旗のような
Emile Henryの柔らかいボウルや器。Made in France
木綿の肌触りと、花模様がやさしい。素朴な幸せを運ぶ
April Cornellのリネン類。Made in India
しゃもじや茶こしや巻き簀や箸など。オリエンタルの国から来た調理器具Made in Japan
ピカピカと磨き上げられて、輝いている。銅製の鍋や菓子用の調理器具。Made in Portugal
金具の部分が決め手。自動車会社の
Peugeot製、ペッパーミルやソルトミル。Made in France
イタリアのレモネード・ジャー。象印のパン焼き器。赤や青のチーズフォンデュセット。ワカモレ作りのメキシコ製石臼。さまざまなオリーブオイルやジャム。クッキングレシピの本……。それから……。

 August 30th., 2003 度が過ぎたコーン

いやになるほど太りやすい私たちなので、普段はあまりお菓子類を食べないよう心がけている。
でも最近は毎日ヨガをやっているし、今日もジョージタウンまで30分も歩いたから、たまにはね。
蒸し暑い夜。店内は、大きなコーンに、たっぷりのアイスクリームを載せておいしそうに食べる人々。
それにしても、これらコーンの派手なことといったら! そもそもかなりの大きさなのに、チョコレートチップやナッツがコーティングされていて、更にはマーブルチョコやナッツなどのトッピングもあれこれ。
私たちは、
中サイズのカップにバターピーカンとアイリッシュクリームを入れてもらい、二人で食べた。
これより大きなサイズを一人で食べきる人々を周囲に見渡しながら。
毎度のことだけれど、この国の人たちの食欲に感嘆しながら。
やっぱりバターピーカンの方がおいしいね、ちょっと一人で食べないでよ、などと言い合いながら。

 August 29th., 2003 大きな傷跡

最近は、どうしたことだろう。まるで毎日のように、嵐がやってくる。
傘など少しも役に立たない、荒れ狂い降る雨と、稲妻と、雷鳴。
ゴゴゴゴゴ〜! バリバリバリバリバリ! メリメリメリメリメリ! ドドドドド〜ン!
大気をブルブルと揺さぶりながら、いくつもの雷が、そこここに落ちる。

この木は多分、強風に煽られて、大きな幹をもぎ取られた。
その隣の木々も多分、一緒に倒れた。
撤去する前に、細切れにされた木の幹が、無造作に歩道に転がっている。
まるで片腕をもがれたような街路樹は、痛々しい
傷口を見せて、天を仰いでいる。 

 August 28th., 2003 勉強はさておいて。

20歳、初めて米国を訪れ、UCLAのキャンパスを歩いたときのことを、今でも鮮明に思い出せる。
下関市の、著しく辺鄙な場所にあった小さな大学に通っていたわたしに、アメリカの大学は衝撃的だった。広くて、自由で、開放的で、活気に満ちあふれていて、太陽の光がたっぷり降り注いでいて……。
この国に移り住んでからも、ニューヨークのコロンビア大学やニューヨーク市立大学、夫の母校マサチューセッツ工科大学、その近所にあるハーバード大学……と、いくつかのキャンパスを訪れる機会があった。
それぞれの大学が、それぞれの個性を漂わせながら、世界中の人々を集わせている。

学内のショップで、ちょっとかわいいTシャツを見つけた。わたしの母校には、オリジナルのTシャツなどなかったので、ついつい買ってみたくなったが、子供用のサイズしかなかったので、買わずにすんだ。

 August 27th., 2003 新しい人になる。

2日前に始まったジョージタウン大学の英語集中コース。
新学期を迎える大学生らに紛れて、まるで自分も改めて、新入生になったような気分。20年ぶりに。
学内のショップには、新しいテキストやノートブックを買う学生の長い列。
日用品がたっぷり詰まったショッピングバッグを、両手に抱えて歩くのは寮生たち。
新入生をスポーツクラブや文化サークルに勧誘する在学生ら……。
世界中から集まってくる、さまざまな国籍の、さまざまな人種の、希望や意欲に満ちた人々。
キャンパスには、ぐんぐんと成長する精神の息吹が立ちこめていて、未来がまばゆい。
いつまでも、いくつになっても、新しくなれる場所。

20年前には見えなかったあれこれが、年を重ねた今になって、とてもくっきりと、見える。

 August 26th., 2003 まるで舞台が変わるように

午後5時。ついさっきまで、青空が広がっていたのに。
急に視界が暗くなり、コンピュータから目をそらす。
俄にかき曇る灰色の空……。と思ったが早いか、
ザワザワ、ゴウゴウ、木々を殴るように、重たく強い風がどっと押し寄せ、たちまちの別世界。

轟く雷鳴。打ち付ける雨。風に泳いで乱れ降る雨。

大急ぎで、窓という窓を閉めてまわり、
しばらくは、呆気にとられて、外を見ている。

 August 25th., 2003 BACK TO SCHOOL!

今日から始まる学校生活に先駆けて、昨日買ったもの。

ランチタイムの時に飲む、小さなパックのオレンジジュース。
ちょっとお腹が空いたときのための、小さなパックのレーズン。それにクラッカー。
それから、温かいコーヒーやお茶を入れるための保温ポットも買った。
これはちなみにスターバックスで見つけたもので、
日本製だった。

食べたり飲んだりするものばかりを準備している私に、
「ミホは何しに、学校へ行くの?」と夫が笑う。

 August 24th., 2003 大陸の匂いがする。

父は建設会社を営んでいた。
私がまだ子供だったころ、自宅の裏にプレハブ建ての事務所があり、その隣には小さな倉庫があった。
大小の釘や金具、木材の切れ端やアスファルトの欠片、「工事中」の看板、一輪車にセメント袋……。
そこから木ぎれや釘を持ち出して、トンカチとやるのがとても好きだった。

HOME DEPOTと呼ばれる、ここは全米に支店を持つ一大ホームセンター。
家を改築するのに必要なすべてが揃う店。たまに用もなく立ち寄る。広大な店内を歩くだけで心が躍る。
人々は、まるで今夜のおかずを買うような気軽さで、
ドアや柱やタイルや洗面台バスタブを選ぶ。
いずれにしても、なにはともあれ、ここは開拓者の国なのだ、と思う。

 August 23rd., 2003 空。

土曜の朝、目覚めたての目に飛び込む空。

大きく窓を開けば、思いがけず、爽やかな風。

蒸し暑い夏に紛れ込んだ、5月の匂い。

ベッドの上に寝転んで、大きく伸びをして、空を眺めている。

「気楽に行けよ」と、空が言う。

 August 22nd., 2003 罪な味。

2年前の夏、インドで結婚したときの写真を整理した。
そのときの、日記も、読み返した。
するとどうしても、タンドーリ・チキンが食べたくなった。
夫と、近所にあるインディアンレストランへ出かけた。
ふかふかのナン、スパイシーなタンドーリ・チキン、ダル……。

でも、ニューデリーで食べたあの味には、はるか及ばない。
あのチキンのおいしさ。あのナンのおいしさ……。
一度、知ってしまうと、もうあとにはひけない。なんて罪な、おいしさだったろうか。

 August 21st., 2003 毒々しいほどの

BLOCK BUSTERというレンタルビデオのチェーン店。たまに、来る店。
店の一画では、多分「ビデオを観ながらどうぞ」ということだろう。お菓子を販売している。
電子レンジで膨らますポップコーンやピーナッツ、ひまわりの種などのスナック菓子。
それに加えて、甘いお菓子。
この色とりどりのまばゆいお菓子は、アメリカじゃ一般的な子供のおやつ。
着色料がたっぷりで、舌を赤や緑や青に染めながら食べるのが楽しいらしい。
健康志向のオーガニックフードが流行る一方、この国は相変わらず、ジャンクフードのパラダイス。
身体にも、心にも、よくなさそうな、食べ物があふれ返っている、奇妙な国。

 August 20th., 2003 紫蘇の葉のために。

日本人の友人が、シソとミツバの種をくれた。
プランターで育てようと思ったけれど、大地に根付いた方がきっと成長も早いだろうと思い、
こっそりと、アパートメントの裏庭の、ハーブや花が咲く一画に、種を蒔いた。

シソは繁殖が早いから、あっと言う間に大きくなって、他の植物の邪魔をしてしまったらどうしよう。
まあ、そのときは、ガーデナーがなんとかしてくれるだろう。
そんなことを思いながら、蒔く。

ちゃんと芽が出て、葉が大きくなったら、まずはシソの葉で、天ぷらでも作ろう。

 August 19th., 2003 古くからある店にて。

ニューヨークに行ったときに撮った写真。どうしても、この店のことを書いておきたかったので。

ミッドタウンの一画にある、Caswell-Massey。1752年創業の、米国で一番古い薬局&香水店。
初代大統領のジョージ・ワシントンは、この店のNumber Six Cologneを愛用していた。
サンプルを手にとって、そっと香りを嗅いでみる。爽やかで、すがすがしく、品性のある、香り。
長い長い歳月を経て、同じ香りがここにあるという不思議。彼の香りがここにあるという不思議。

色とりどりの、美しい容器に入った香水やソープなどを、ひとつひとつ丁寧に眺めながら、
時に手に取ってみたりなどして、いつまでも、店にいる。

 August 18th., 2003 『muse DC』届く

今回で4号目の『muse DC』。最初はオフィスで印刷できる小さなニューズレターで始めたのに、
2号目からは『muse new york』と同じ体裁にし、そして今回からは2色刷にした。
ただし、『muse new york』は20ページほどだったけれど、『muse DC』は8ページ。
広告がたくさん入れば別だけれど、当分はこれでいこうと思う。

今回は、ヴァージニアのワイナリー特集。ワインだからワインレッドにしようかとも思ったけれど、
爽やかな夏と、若いブドウの実をイメージして、グリーンを選んだ。

さて。配達に出かけなきゃ。

 August 17th., 2003 誤解を招かないように

米国では、公共料金などの口座自動引き落としは一般的ではない。小切手で支払うのが主流だ。
最近では自動引き落としやクレジットカードでの支払いも増えているようだけれど、
何かにつけ事務処理が杜撰なこの国だから、間違った額を引き落とされる可能性も非常に高く、
だから面倒でも、小切手を切り、郵送する方が安心だ。そういうわけで、切手を使う機会が多い。
現在、普通郵便は37セント。郵便局では、定期的に新しいデザインのシール状切手を販売している。
電話料金とか、水道・電気・ガス代などを支払うのに、特に洒落た切手を使うこともないけれど、
でも、同じ料金ならば、ちょっと凝ったものを、というわけで、毎回、デザインの異なる切手を買う。
今、手元には、アンティーク玩具と「LOVE」の切手がある。「LOVE」の切手は、デザインが違っても、
たいていいつも、郵便局にある。相手によっては、この切手を貼ることがはばかられる場合もあり。
「勘違いされたら困るわ」などと意識過剰になって、敢えて使わないこともあったりする。

 August 16th., 2003 礼儀

コリアン料理店では「OB:オービー」。チャイニーズ料理店では「青島:チンタオ」。
タイ料理店では「Singha:シンハー」。インド料理店では「King Fisher:キング・フィッシャー」
そしてベトナム料理店では「33」。

アジアの料理を食べるときは、ビールを飲むことが多い。そして必ず、その国のビールを頼む。
もちろんメニューにはいろいろな種類があるけれど、その国のビールが、料理に一番、合う気がする。
給仕をしているその国の人たちも、自分の国のビールが一番おいしいですよ、というような雰囲気を、
一様に漂わせている。思い過ごしではなく。いや、思い過ごしかもしれないけれど。
だから、まるでそれが礼儀でもあるかのように、その国のビールを頼んでしまう。
やっぱり、おいしい。

 August 15th., 2003 そしてついに届いたグリーンカード

6月12日、永住権を得て、パスポートにスタンプを押してもらった。
そのスタンプはグリーンカードと同じ効力を持つけれど、実際にグリーンカードと呼ばれるPERMANENT RESIDENT CARDが手元に届くのは半年から1年後と言われていた。
予想していたよりもずっと早い今日、さりげなく、揃いの2通の封筒が、移民局から届いた。
カードの表には写真と指紋などの個人情報が、裏面には鏡面のような帯がある。
ルーペで帯を見てみると、上部には、天地1.5ミリほどの大きさで、歴代大統領の顔と名前が、下部には50州の州旗が並んでいる。そして中央部には米国国旗と自由の女神、カード保持者の顔と名前も透かしで入っている。
この一枚のカードを手にするために費やした、あらゆる、すべてに、お疲れさま、ありがとう。
この国で、また新しい一歩だ。がんばるぞ!

 August 14th., 2003 ニューヨーク土産

留守番A男にお土産を買う。
まずはお気に入りのカステラをロックフェラーセンターの「源吉兆庵」で。
それから、マディソン街と46丁目角の英国のシャツ専門がセールをしていたので立ち寄る。
仕立てのいいシャツが大幅割引で売っていたので、思わず3枚購入。ちょっと派手だけど。
セール品につき、サイズに制限があるから、とても気に入った物は見つからなかったけれど、
これでも十分満足。いいお土産が買えてうれしい。
ちなみに店名はCHARLES TYRWHITT。すてきなブティックです。
マンハッタン在住の方、あと数日はセールをしているようなので、立ち寄ってみてはいかが?
もっと地味でシンプルな柄のシャツも、たくさんありました。レディスもあります。


2時5分発のアムトラックでニューヨークを発ちDCへ向かった。その2時間後、ニューヨークは大停電に見舞われた。わたしは危機一髪で帰ってくることができた。友人らがひどい目にあっていないことを祈る。

 August 13th., 2003 久しぶりの場所で

1年ぶりに訪れた、クイーンズの中国系印刷所。『muse DC』の印刷チェックのためだ。
工場のドアを開けると、いつものお姉さんとおじさんが製版をしている。
「グッド・モーニング! 久しぶり!」と声を掛け合う。
輪転機のそばにも、いつものカラー印刷おじさんと、モノクロ印刷お兄さん。
古びたカセットデッキから中国語版「子連れ狼」のテーマ曲が流れている。脱力。
インクの缶も、見事な乱雑さで管理されている。きちんと仕上げてくれれば、構わないけれど。マネージャーの仮にジェームズも、元気だった。『街の灯』を上げたら「サインして!」と言って、喜んでくれた。漢字を追って、内容をつかんでね。
次はいつ来るかわからないけれど、これからも、よろしくね。

 August 12th., 2003 一人歩く夜の爽快感

夜道の一人歩きは危険。それは確かにあるけれど、
交通量の多いマンハッタンのまん中なら、あまり心配することはない。

わたしは、夜のマンハッタンの、静かになった通りを、一人で歩くのが好きだ。
きらめくネオンを見上げながら、季節季節の風を肌に感じながら、足早に歩く。

コリアタウンで友人と別れた後、ホテルまでの十数ブロックを、てくてくと歩く。
会話の余韻に浸りながら、荷物の重さも忘れて、てくてくと歩く。

雨上がりの湿った空気さえも、心地よく思えるひととき。

 August 11th., 2003 久しぶりの街で。

ニューヨーク。今回は3カ月半ぶり。グランドセントラル駅に近いホテルに3泊。
市立図書館の裏手にあるブライアントパーク。オフィス街のただなかの、公園。

屋外ステージで、誰かが何かを歌っている。
芝生の上に、人々が寝転んでいる。

埃っぽくて、蒸し暑くて、肌がべったりと重くけだるく。
それでも、わたしは、ここに来ずには、いられない。

ニューヨーク……。なんなのだろう、この街は。

 August 10th., 2003 ささやき合うかのように。

日曜の夜。いつものように、ビショップ・ガーデンを散歩する夕暮れ時。
毎週のように来ているにも関わらず、新しい花や草木がそこにはある。

蝉時雨に包まれて、夕映えの芝生のベンチで、呆ける宙ぶらりんの時間。
毎週毎週、心緩む金曜の夜が来て、毎週毎週、心迫る日曜の夜が来る。

飽きもせず。

まるで顔ほどもの大きさの、ハイビスカスのような花々。
頬を染めるように、柔らかく、可憐に、咲いているのを、触ってみたあと、帰る。

 August 9th., 2003 HAPPY BIRTHDAY

今日は夫の誕生日。ダウンタウンに新しくできたギリシャ料理の店でディナー。
シャンパーンで乾杯し、いくつもの小皿料理を味わって、ギリシャの白ワインも飲んで、
もうデザートが入る隙間はなくて、久しぶりに涼しい夕暮れを、タクシーに揺られて帰る。

窓の外から、美しい空と雲。高層ビルのないこの街は、本当に空がよく見える。
アパートメントに到着し、部屋に戻る前に、屋上へ行く。ほろ酔いの頬に風が心地よく。
この街で、一番眺めがいい場所だと、二人で思っているこの屋上。
今日は満月が雲の合間から見え隠れしている。
息を殺して、揺らさぬように、そっと静かに、シャッターを切る。

 August 8th., 2003 水と髪とシャンプーと。

ワシントンDCの「水」は私に合わない。硬くて肌によそよそしい水。
シャワーヘッドにフィルターをつけて、少しはよくなったけれど、最初は肌も髪も痛んだ。
たまにニューヨークに行くと、水が柔らかくて、シャワーを浴びるのが気持ちいい。
ニューヨークの水は、私によく合う。

痛んだ髪を癒すため、あれこれとシャンプーを試した結果、今気に入っているのはキールズ。
1851年、ニューヨークにオープンした老舗薬局で、自然派の商品がたっぷり揃っている。
一時、日本でニューヨークコスメが流行ったとき、ここのローズウォーターが人気だった。
無駄のない、素朴でシンプルな容器と、気前よくくれるサンプルの数々。
しばらくは、キールズのお世話になりそうだ。

 August 7th., 2003 美しき、オリーブオイルらよ。

初めてオリーブオイルのおいしさを知ったのは、23歳の時。仕事で訪れたスペインでだった。
スペインは、私が訪れた初めての欧州。目に入るもの全てが、身体中に染み込んできた。
バルセロナのバル(居酒屋)で、トルティーヤ(ポテト入りオムレツ)を食べたときの衝撃!
たっぷりのオリーブオイルに泳がせ、揚げるように炒めた薄切りポテトを、新鮮な卵でとじる。
味付けは、軽く塩コショウだけ。なのにそれは、なんとも言えぬ、おいしさだった。
帰国後、自分で作ってみたけれど、同じ味にはならない。素材の何もかもが、違った。

それにしても、オリーブオイルのボトルや缶は、どうしてあんなに魅惑的なのだろう。
高級なワインのボトルよりも、それらは生き生きと、輝いて見え、いつも立ち止まってしまう。

 August 6th., 2003 ささやかな。

濃いオレンジのドアがひときわ目を引く、石造りの家。
カテドラルの横に、小さくたたずむ、花々に囲まれた家。
白雪姫と七人のこびとたちが、似合いそうな家。

夕暮れ時、木々をすり抜けてきた夕焼けが、オレンジ色のドアにこぼれて、
温かな「陽のたまり」を、渦のように、描いている。

まるで、幸せな知らせを、届けるみたいに。

 August 5th., 2003 イタリアの、漁師たちの、ランチ。

「ローマでイタリアンの修業をしたことがある」という友人。自称「ボンゴレの達人」。
彼に勧められて、Giuliano Hazanというシェフのレシピブックを買った。
amazonで検索すると、すでに絶版になっていたが、運良くUsedのコーナーで見つかった。
勧められたのは「The Classic Pasta Cookbook」だったけど、「Every Night Italian」も買った。
早速、クラムを買い求め、レシピに従ってボンゴレを作る。
食卓に、磯の香りが届いてきそうな、なんて素朴でおいしいパスタ!

いつもは、あり合わせで作る我流のペンネ・アラビアータやプタネスカ、ペスカトーレ……。
今度は彼のレシピに従って、作ってみよう。

 August 4th., 2003 いちにちのはじまり

毎朝、ヨガをするようになってから、
毎朝、窓越しに日が昇るのを眺める。

空の色、雲の色、太陽の色。
いつだって、初めて見る光景。

深く深く、呼吸をしながら、
今日もまた、新しい一日がはじまる。

 August 3rd., 2003 夏が似合う家

蒸し暑い日。ジョージタウンを歩く。

青空を背景に、白いタウンハウスが、ひときわまばゆい。
近隣のタウンハウスと、色の調和がとれられた、古い家並みが続くあたり。

緑も、花も、街灯も、星条旗も、古い車も、
すべてがかけがえのない構成物となって、静かな通りを彩る。

 August 2nd., 2003 祝! 新しい暮らしの始まり。

2001年夏、インドでの結婚が決まった私は、インターネットで情報を収集した。日本版Googleで「インド」「結婚式」を検索したら、ある女性のサイトにたどり着いた。そこには、米国在住の妹さんがインドで挙式した際の記録があった。偶然にも妹さんの名前はMIHOさんだった。情報を得たお礼にメールを送ったら、妹さんはDC郊外メリーランド州に在住との返事が届いた。去年、DCに移ってまもなく、MIHOさんに連絡をした。以来、私たち夫婦はしばしばMIHOさんと夫のRANJITさんに会った。途中からは彼らの友人夫妻(日印夫婦)を紹介され、6人で会う機会も増えた。来週、彼らは、この春生まれたばかりのSAYOちゃんと3人で、次なるステップを踏み出すためにシカゴへ旅立つ。今日はそのお別れ会だった。旅立ちは、いつでも少し、寂しい。見送る方も、見送られる方も。でも、そんな気分を吹き飛ばす、インドの音楽とノリノリのダンス!
MIHOさん、RANJITさん、シカゴでも頑張ってね! 二人で遊びに行きます。

 August 1st., 2003 スイカの季節

8月になった。夏真っ盛りの8月。
近所のスーパーマーケットに、大きなスイカがゴロゴロと並びはじめた。
アメリカのスイカの定番は、球体ではなく紡錘形。
迂闊に抱えると、腰を痛めてしまいそうな大きさだ。
わたしを懐妊していた夏、母は、それはそれはたくさんのスイカを食べたという。
そんな話を何度となく聞かされていたせいか、スイカを見ると、親近感がわく。

8月。
9日は、夫の誕生日。31日は、わたしの誕生日。

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