October 31, 2003 ダウンタウン

自動車の免許証更新するために、キャピトルの近くにあるDMVへ行く。
長く待たされると思っていたのだが、意外にもすんなりと手続きがすみ、知人とのランチの約束まで時間ができた。
相変わらず、大きな建物ばかりでつまらないわ。と思いながらも、秋晴れの、暖かな日を、歩く。
保母さんたちが、子供たちを連れてお散歩。6人も一度に大丈夫? でも彼女らの迫力なら大丈夫ね。
あ、
Rosa Mexicanaがオープンする! ニューヨークで好きだったメキシコ料理の店! できたら来よう!
ここのワカモレは、本当においしいの。ワゴンに石臼と材料を載せてウエイターがやって来、目の前で作ってくれる。
あと、骨付き牛肉のグリルも、炭火焼きでおいしい。そしてフローズンマルガリータ!
通りの角に、
スパイミュージアムを見つけたので、ちょっと見学。NINJAがスパイとして堂々展示されていた。

歩くと何かと、発見があるもの。

 

 October 30, 2003 10月30日の、街の色。

久しぶりに、屋上に出てみた。
街の色が、少しずつ変わっているる。
カテドラルの方や、ダウンタウンの方は、まだ少し、緑が濃くて、でも西側の光景は、もうずいぶんと、暖かい。
木の種類や標高や、いろいろな要素が、街の色を豊かにする。
日、一日ごとに、色は移り変わり、やがてまもなく、多くの木が、多くの葉を落とし尽くし、
新しい年に向けての準備を始める。

葉が現れているのは、一年の半分。残りの半分は、幹や梢の中に潜んでいる。
今のわたしは、5月下旬くらいだな……。と、ふと。

 

 October 29, 2003 紅葉のころ

まるで湖面のように、空や木々を映し出す車のボンネット。
その上に、舞い降りる枯葉。
が描く一葉の絵画。

日増しに秋は深まって、今が一番、街路が温かな色に包まれる季節。
黄色が、街の至る所に。通りには、パンプキン売りの小さなトラック
あちらこちらそちらに、キクの鉢植え。
雨上がり、濡れた落ち葉が、傾き始めた日差しを反射して、
黄金のように光る。

 

 October 28, 2003 おじいちゃん

ジョージタウンでは、庭に竹林がある家をよく見かける。
竹を見かけると、葉をちぎり、笹舟を作る。もう、遠い昔からの、習慣のような動作。
私の記憶の最初のころ。妹がまだ母のお腹にいたころ。3歳の私は、しばしば祖父と散歩をした。
小さな山の、狭い山道の脇に、せり出すようにしていた竹林。かぐや姫の話を初めて知ったのは、いつだったろう。
竹の切り株に、小さなかぐや姫が座っているのではないかと、いつか出会えるのではないかと思っていた。

わたしはたいてい、祖父の柔らかな手を握っていた。足の悪かった祖父の歩みに合わせて、ゆっくりと歩いた。
時に手を離して、路傍の小さな小さな紫色の花を、小さな指先で摘み、祖父に見せた。
いつもいつも、同じ事をした。いつもいつも、祖父は同じように微笑んだ。
笹舟が作れるようになったのは、もう少し後になってからだったろうか。
笹の葉を見ると、遠い昔、妹が生まれてまもなく他界した、やさしかった祖父を思い出す。

 

 October 27, 2003 ハロウィーン

ハロウィーンを目前に控え、家々のデコレーションも日増しに本格的になりつつある。

先日、郊外をドライブしているとき、棺桶や、木の枝に首吊りをしている実物大の人形を飾っている、
かなり「行き過ぎ」な装飾の家庭を見つけた。倫理上、まずいんじゃないかと言うくらいのリアルさで、
まあ、お化け屋敷だと思えばいいのだろうけれど、ちょっと強烈だった。

道を歩いていると、生け垣やバルコニーなどに、クモの巣もよく見かける。
この程度なら、楽しい気分で見られるけれど、
こういうリアルさは、思わず立ち止まり、たじろいてしまう。

 

 October 26, 2003 所変われば……

軒先を賑わしている、主に臙脂色、黄色、橙色の、キク科の花々。
日本じゃちょっと渋めの花だが、米国では今の時節、この花の鉢植えが、花屋の店頭を彩り、庭庭を彩る。
かつて東京に住んでいた頃、米国人の男友達が訪ねてきたときのことを思い出す。
彼の手には、小さな花束。「いろんな色のきれいな花束が売ってたから、これにしたんだ」
紫色のアヤメ、白や黄色のキク……。確かに、いろんな色。しかしそれは、紛れもなく「お仏壇用」の花だった。
一瞬、躊躇したが、将来もしばらく日本に住み続けるであろう彼の今後を思い、
同じ事をガールフレンドにしでかす前に、正直に告げた。彼の驚き、恥ずかしがる様子が何とも気の毒だった。
花屋も一言、教えてあげればよかったのに。外国人が仏壇用の花を買うなんて、そうそうあることじゃなかろうに。

それはそうと、この鉢植え。大きければいい、というものらしい。

 

 October 25, 2003 冬が来る前に

欲しい、と思いながら、もう何年も、気に入るものを探そうとしていなかった。でも、今年は、必要なのだ。
だから今日は、探した。ショッピングモールの中にある、デパートというデパートを巡って。
合計6つのデパートのコート売場を、くたくたになるほどに、歩いて、探した。そうして見つけた。
たった一着、「これだ」というものを。ドイツから来たコート。くるぶしに届くほどの、長いコート。

条件に合ったものを見つけだすことは、本当は簡単なことではないのに、
今まで衣服に関しては、あまりにも、簡単に、選んできていたような気がする。ことに、アメリカに移ってからは。
年を重ねるごとに、もっと丁寧に、自分が身にまとうものを、選ぶべきなのかもしれない。

ああ、それにしても、なんて柔らかくて、かわいらしい、肌触りなのだろう。
ヒヨコやウサギに触れているような、あたたかな、フワフワ。冬はもう、すぐそこまで来ている。

 

 October 24, 2003 食卓には

もう一週間以上たつけれど、まだ元気。

食卓に飾る花は、香りが少なくて、花粉が飛び散らず、でも華やかで、

そのうえリーズナブルで、長持ちするのが、いろいろな意味で、いいなあと思う。

特に、時間に追われがちな頃には。

 

 

 October 23, 2003 みかん?

学校へ歩く道すがら。

緑に浮かぶ、小さなオレンジ。

みかん?!

近寄ってみたら、パンプキンの飾りでした。

 

 October 22, 2003 秋号『muse DC』完成!

ついに届いた『muse DC』秋号!

今回もまた、いい感じ。

明日から週末にかけて、郵送、配達いたします。

読者の皆様、お楽しみに!

 

 October 21, 2003 灰と川

週末。夫がビデオショップで「マルサの女2」を借りてきた。見るのは何度目だろう。三國連太郎の台詞。
「お前に墓を買ってやろう」「墓を買ってやると言うことは、お前の面倒を、一生みてやると言うことだ」
……ふむ。わたしの墓は? 夫の墓は? どうなるんだろう。

翌日、散歩の途中、夫に尋ねた。「ねえ、死んだらお墓、どうするの? 私と一緒のところがいい?」「いやだ」「いやだ? 失敬な人だなあ」「そもそもインドは火葬だから、お墓、ないもん」「じゃあ、灰はどうするの? 日本は火葬だけどお墓はあるよ」「川に流すんだよ」「お母さんの灰はどこに流したの? ガンジス川?」「違う。ヤムナ川」「私の灰はどこへ流す?」「ポトマック川は?」「ポトマック川……。いやだDCは。でもまあ、記念に1割くらいはいいかな」「C&O運河はだめだよね〜。あそこは水が淀んでるから」「それでね、3割はハドソン川で、1割は日本のどこかだな。それで1割は、いや3割はあなたといっしょのヤムナ川で、あと、残りの2割はムルダヴァ川もいいし、セーヌ川、いや、グアダルキビール川もいいな……」「いろいろと面倒なこと言うと、トイレに流しちゃうよ」

 

 October 20, 2003 冬の食卓

先週から、食卓に「鍋」が上るようになった。日系食料品店で、ポン酢やごまだれも調達ずみだ。
カセットコンロもある。予備のガスもある。もちろん、土鍋もある。
好きな野菜や肉類や豆腐やコンニャクなどを適当に放り込み、ぐつぐつと煮る。湯気が和やかに立ち上る。

鍋に並んで冬の定番はポトフ。基本はタマネギ、ジャガイモ、骨付きチキン、ニンジン、そして香りのする野菜。
たとえば、フェンネルやセロリ、リーキ、ネギなど。あとはベイリーフ、その他好みのスパイスがあれば。
今日は冷蔵庫に残っていたイタリアンパセリを使う。スパイシーな手作りソーセージとズッキーニなどもいれる。
材料を、適当に、大ざっぱに切って、圧力鍋へ。小さなポテトやニンジンはそのまま。そしてチキンスープ。
10分も煮込めば、柔らかくて温かくておいしいポトフの出来上がり。適当に、醤油や塩で味を調えて食卓に。
粒マスタードなどを添えるとフランス情緒漂う。たっぷりの野菜を、おいしく食べられる、冬の定番。
日本の鍋と同じで、とても簡単で、温かくて、好きなものを、好きなだけ入れられるのが魅力。
ちなみにチキンスープは、アメリカ人にとって、日本人の「お粥」にも相当するもの。風邪の時にも、飲むスープ。

 

 October 19, 2003 主には濃紺。

いつものように、日曜の夕方。いつものように、1週間分の食料を買い求めに行く。
家に戻り、紙袋から食料を取りだして、冷蔵庫に入れたり、棚にしまったり。
そうして6時半。すでに太陽は沈んでしまったけれど、まだ、少しは明るい。

久しぶりに、大聖堂の隣にあるビショップガーデンへ行く。
もう、花はあまり、咲いていないねえ、と言いながら、咲き残るバラの香りを嗅ぐ夫。律儀に一輪ずつ。
このバラは甘い香り。このバラはさっぱりしている。ひとつひとつ、確認するように。

もう、誰もいなくなった広場に寝転んで、薄暮の空を見上げる。首筋に、芝生が冷たい。飛行機雲が一筋。

 

 October 18, 2003 アメリカーインド

ジョージタウンの、ダンバートン・オークスの近くを歩く。
瀟洒な家並みの続くあたり。ハロウィーンの準備をした家々がここにも、あそこにも。
私たちは、いつまでこの国で暮らすのだろうね。と語り合いながら。

ゆるゆると、坂を下り、本を読もうとバーンズ&ノーブルへ行く。

今年の年末は、夫の実家に帰省する。
2階のスターバックスにて。インドのガイドブックを大量にテーブルに広げる。
タール砂漠でラクダに乗ろうか。ゴアの海辺で過ごそうか。あるいは寺院を巡ろうか。

 

 October 17, 2003 個性

一枚一枚が、微妙に異なる色を見せながら、散り行くことの不思議。

 

 October 16, 2003 帰り道

気持ちのいい秋の午後。仕事が一段落したので、今日は寄り道をして帰ることにした。
ジョージタウンの住宅街。オレンジ色を目がけて、ふらふら歩く。
あっちの玄関、こっちの窓辺、午後の日差しにピカピカ光るパンプキン。
途中でウィスコンシン通りに出る。
ちょうど目の前に
レオニダス。ついつい中に引き込まれ、ついついプラリネとトリュフを3種類×2粒ずつ。
少し歩くと、今度はPatisserie Poupon。ついつい中に引き込まれ、ついつい
エクレアと洋ナシのパイを一つずつ。
今日のエクレアは、カリントウみたいじゃなく、ベージュ色のモカ風味。試してみたくなってつい。
年中そうだから、取り立てて言うまでもないのだが、秋は、食欲の、秋。


★今日の散歩の風景は、ワシントンDC情景に掲載しています。

 

 October 15, 2003 通学路。

毎朝通る道。

同じような家並みが続く道。

1軒だけ目立つ家。

まるでおもちゃの家のよう。

道行く人へ、秋の一幕を、上演している。

 

 October 14, 2003 枯葉

コーヒーを切らしていることに気がついて、買いに出る。
アパートメントのビルを出た途端、渦巻く秋風、舞い上がる枯葉。いつのまに、こんなにも、枯葉。
高い、青空。

ふと、歩道を見下ろせば、こんなにもどんぐり。幾冬も越せそうなほど、リスたちの食料がそこらじゅうに。
スターバックスのテラスは、枯葉が掃き溜められて、急に裏寂れた風情。

見るもの聞くもの触れるもの。なにもかもが感傷的になる秋の夕暮れどき。
イヴ・モンタンやエディット・ピアフなどを、わざわざ、そんなにも、ぴったりな曲を、選んでしまう。
LES FEUILLES MORTES、LA FOULE、PADAM, PADAM.......込み上げてくる、旅情!

 

 October 13, 2003 秋のせいで、過去が近い

風に含まれる秋の成分を吸収しただけで、心は遠い昔に戻る。青春時代というものは、確実にあり、それは、どうしたって、他の時代とはかえがたいものだということを、最近知り始めた。日本を離れて、日本語の音楽を聴かなった今となっては、口ずさむ日本語の歌はもう、高校時代や大学時代に聴いたものばかり。クローゼットの奧にしまい込んだ段ボール箱をひっぱりだし、古いカセットの生き残りを、ガチャガチャと言わせながら探る。底なしの記憶をいざなう、メロディーが凝縮された、この箱。

山口美央子の曲を知ったのは高校2年のとき。ラジオから流れてきた「さても天晴れ夢桜」を聴いたときの動揺。
「真っ赤に熟れてるほおずき一つ、あなたの背中に入れてみた。金襴緞子の向こうに揺れる、恋路の行方を掠め見る」
そして買い集めた彼女の4枚のLP。「夢飛行」「月姫」「ANJU」「NIRVANA」。何度も何度も繰り返し聴いた。そして今、レコードの針の、パチパチという音の入った、少し伸びたカセットテープを聴く。
20年後の今も、ちっとも古く感じない、深く染みる彼女の言葉と音色。今、彼女は、どうしているのだろう。

 

 October 12, 2003 初秋青空日曜日。

今週もまたサイクリングに出かけようと、今度は、飛行機が間近に見えるマウントヴァーノントレイルを走ろうと、
レンタサイクル・ショップに行ったのだけれど、すでに自転車はすべて貸し出されていた。

仕方ないので、先週と同じC&Oキャナルを歩くことにした。自転車に乗っているときにはできないことをしながら。
二人手をつないで歩く。とりとめもなく、いろいろな、話をしながら。ザク、ザク、と、砂利を鳴らしながら。
を見る。珍しい色の木の実を見る。カヌーを漕ぐ人を見る。泳ぐ犬を見る。釣人を見る。を見る。足許を見る。

歩くとずいぶん、時間がかかった。ピクニックエリアまで。ランチを広げる。少しうたた寝。
同じ道を引き返す。緑の中に紛れる赤や黄色。ジョージタウン大学の、きれいな
尖塔が見える。観光船も見える。
こんな時間を忘れないようにしよう。大切にしよう。そう言い合いながら、日が暮れるまで歩く日曜。

 

 October 11, 2003 日がな一日。

土曜日だというのに、午後からはもう、ほとんどずっと、コンピュータに向かい、『muse DC』制作の追い込み。
毎日学校に通っているので、平日はなかなか集中して仕事ができないのだ。
宿題とか、家事とか、優先すべき仕事とか、休憩とか、ぼんやりとか、そういうことで、時間が過ぎていくので。

本当は、今週あたりに配達する予定だったのに、2週間ほどもずれこんでしまった。秋のドライブ特集。
ふと窓の外を見下ろすと、すでに緑が色づき始めていて、ああもう、発行の前に、街が紅葉に包まれてしまう!
と、誰にせき立てられるでもなく、一人慌てる。次の瞬間、焦ってどうする。と自分を戒め、コーヒーなど煎れる。
来週には、フィルムを出力し、印刷所に入稿して、再来週には配達だ。
今日は幸いにも、曇天だったので、外に出かけたい衝動を抑えられた。室内仕事日和だった。
けれど、明日は、もしも晴れたら、またサイクリングに出かけようかな。せっかくの秋だから。

 

 October 10, 2003 朝のために。

毎朝、お茶を飲み、コーヒーを飲む。使っていたのは、アメリカンな、ありがちな、マグだった。
夫の同僚の結婚祝いを買おうと、陶磁器の店を訪れた。そこで見つけた、ほどよい大きさの、マグ。
ウェッジウッドのインディアとセビーリャ。夫の好みを尊重して選ぶ。たまには。

慌ただしく、バタバタしている朝も、このマグを扱うときは、少しやさしい手つきになる。
お茶を注ぐとき、キラキラとした、鈴のような音を立てる。爪先で軽く弾くと、鉄琴のような音を立てる。
冷たく透き通るような白磁。滑らかで持ちやすい取っ手。唇に静かにおさまる、しっとりとした感触。

一日の始まりが、ほんの少し、丁寧になる。

 

 October 9, 2003 学校

かつて、学生だったときは、学生であることがあたりまえで、学ぶことの楽しさよりも、焦燥や面倒が先に立って、未来はまだまだ長く、行き先の見えないもので、かなり茫漠とした気持ちで、さほどのありがたみもなく、ただ、当たり前のように時間を過ごしていた。

社会に出て、働いて、打ちのめされて、少し何かをつかんで、違う国に来て、働いて、やっぱり少し、何かをつかんで、その間に、数え切れない人たちに出会い、未来の長さは、あのころよりも少しばかり短くなって、でも行き先は相変わらずはっきりと見えなくて、それでも、こうして学びの場所に、改めて、身を置ける自分の環境に、感謝。

国籍、年齢、民族、宗教、職業、学歴……。あらゆるくくりを取り払い、利害関係なく、みなが対等に、接せられる場所に身を置けることのおもしろさ。歳を重ね、経験を重ねることの、なんという楽しさ。

 

 October 8, 2003 墨絵の朝

白々と、闇が薄れていく。

窓の外には一面、霧が漂っている。

満月のような太陽が、静かに昇る。

 

 October 7, 2003 朝食の、パンがおいしい季節。

少しずつ、気温が下がっていくにつれて、温かく焼いたパンが、食卓に上る朝が増える。
去年、パナソニックのホームベーカリーを買ってしばらくは、
生クリームを少し入れた、焼き立てほかほかふわふわの食パンが、我が家の流行となった。
この間は、こんがり焼いたイングリッシュマフィンに、オーリブ油で焼いた目玉焼きを挟んだものがはやった。
そして先週からは、イタリアのパン、CIABATTA(キァバッタと発音するのだと思う)がブームだ。
表面は香ばしく、中はしっとり歯ごたえのあるキャバッタをトーストし、チーズやプロシュートを挟む。
チーズがパンの熱でトロリと溶けて、何とも言えずおいしい。絞りたてのオレンジジュースとも、よく合う。

パンと言えば、ソーホーの、SULLIVAN STREET BAKERYのチーズパン"Bianca con Pecorino"が食べたい。
買ったばかりを歩きながら食べるのもおいしい。翌朝、トースターで温め直して食べるのもおいしい。

 

 October 6, 2003 街を歩けば

思いがけず、目に留まる、ささやかに、かわいいもの。

少しくらいの淀みなら、晴らしてくれる。

 

 October 5, 2003 運河沿いサイクリング

爽やかな秋の日曜日。ジョージタウンまで歩き、レンタサイクルショップを訪れ、マウンテンバイクを借りる。
いくつかのサイクリングルートの中から、C&Oキャナル沿いを選び、走る。どこまでも
続く道
左手に、
ポトマック川を眺めながら。
ジョギングをしたり、ボートを漕いだり、散歩したりする人たちを、眺めながら。
木々のざわめき、虫の声。遠く近く、飛行機のエンジンのうなり。
こぐ足を止めたときの、チェーンが空転するカラカラカラカラと香ばしい音。耳に入るすべてが、心地いい。
昨日、約6年ぶりに、
髪を短く切った。首筋をすり抜ける、風の感触が懐かしい。
途中のピクニックエリアでホットドッグと買う。バーベキューをする家族らの漂わせる、いい香り。
古びた
トンネルをくぐり、どこだかわからない、遠くまで来たところで、引き返す。
帰りはなだらかな下り坂で、スイスイと、鼻歌混じりに自転車をこぐ。学生のころ聴いた曲ばかりが思い出される。
この次は、お弁当を持ってこよう。

 

 October 4, 2003 待望の、エクレア

近所に、Patisserie Poupon、と呼ばれるフレンチペイストリーの店がある。
この界隈では一番、おいしいケーキやタルトが食べられる、アッパージョージタウンの小さな店。
夫はエクレアが大好物で、だから週末など、この店の前を通るたび、「エクレア、買おうか」と立ち寄るのだが、
いつもエクレアは売り切れで、今まで食べたことはなかった。

最近、夫は土曜日の午前中、ジョージタウン大学の社会人コースで「習い事」を通い始めた。
昼過ぎに、学校から帰ってきた夫。ドアを開けるなり、ニコニコしながら、白い菓子箱を得意気に見せる。
中には大きなエクレアとイチゴのタルト。カカオの風味がいっぱいの、まるで巨大なかりんとうみたいなエクレア。
夕食ののち、これらを半分ずつに切り分けて、映画を観ながら、紅茶を飲みながら、食べる。
週末の、秋の、静かな夜長に。

 

 October 3, 2003 カボチャ

ほらほら、パンプキンとその仲間たちが、スーパーマーケットにゴロゴロ。

パンプキン・パイや、パンプキン・スープが、家庭の食卓を賑わすころ。

アメリカのパンプキンは水気が多いので、日本の料理にはあまり向かない。

わたしは日本の「西洋カボチャ」が大好きで、

とくに、ホクホクとした煮込みや、やはりホクホクとした天ぷらが好き。

 

 October 2, 2003 赤組白組

空高い午後。乾いた冷たい風が、心地いい。

近所にVespaの店がある。店頭に、何台かのベスパが展示されていた。

ピカピカに輝く、赤と白のベスパ。

青空と、秋風と、赤と白。

小学校のころの、運動会を思い出す。

 

 October 1, 2003 アメリカの、秋の色。

10月。街角を、オレンジ色のパンプキンが賑わす季節がやって来た。

夏時間が終わるころには、驚くほどに一日が短くなり、あっと言う間に厚手のコートが必要になる。

これから、ハロウィーン、そして、サンクスギビングデーと、年末のホリデーシーズンがやって来る。

そうして、街全体が、ネオンに彩られて宝石箱のようにきらめくマンハッタンが、恋しくなる季節。

近所のスーパーマーケットで、オレンジ色の花を買い、小さなカボチャを買い、家の中も、秋支度。

 

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