November 30, 2003 木の実をついばむ小鳥の記憶。

わたしの、最も古い記憶の中にある絵本。「からーぶっく・ふろーら」シリーズ。
最初の頁に、「〜いろのほんをよみましょう」と書かれた、絵本。
最後の頁には、童謡があった。「こ〜と〜し〜の〜ぼ〜た〜ん〜は〜よ〜い〜ぼ〜た〜ん〜」

「おおかみとおはぎ」「おじいさんのぶどう」「おひさまがくわのみたべた」……。
もっと色々な本があったのだけれど、名前を思い出せない。
言葉は忘れてしまったけれど、絵の印象は、今でも鮮やかに、思い出せる。
木の実を食べる小鳥を見ると、頁いっぱい、くわのみをついばむ小鳥たちの絵のことを、思い出す。

  

 November 29, 2003 過去と未来が近い夜。

特別な週末ではないのだけれど、どこか特別な気持ちがする夜、オリーブの実の、マティーニを飲む。
夫はお酒が強くなく、だからすぐに酔いが回り、そして二人は饒舌になり、いつもより少し、親密になる。

初めて、マンハッタンのハドソン・バーに行ったときも、
グラウンド・ゼロを訪れた帰りに、ロシアン・バーのプラウダに行ったときも、
そして初めて、ジョージタウンの、この店に来たときも。
薄暗く、静かで、深いソファーで。キャンドルの灯が揺れるのを眺めながら。
例えば私たちの、3年後、5年後を、語る。
例えば私たちが、初めて出会った日の偶然を語る。

  

 November 28, 2003 何だこれは!

休日の朝。郵便配達がドアを叩く。ドアを開ける。恰幅のいい黒人女性が、大きな箱を抱え笑顔で立っている。
箱には「ゆうパック」とある。日本からのお届け物だ! いったいなんだろう? 箱を開けると……。
出てくる出てくる、色々な物が! 恒例、不二家のクリスマスのブーツをはじめ、お菓子、ぬいぐるみetc.
どうやら父が主導権を握って、商品選びをした模様。母からのメッセージの追伸に、
「本来送りたい物と、とてもかけ離れた物の山です。笑ってください」とある。
確かに、笑える品揃えだが、とてもうれしい。緩衝剤がわりにと送られた日本製タオルの、肌ざわりのよさ。
好物の
するめ、おにぎりに好適なおいしいシソわかめ、夫の好物「こうや豆腐」に、母の最新作のバッグもある。

初めて親元を離れたのが18歳の時。あれから20年。折に触れ、送られてくる両親からの荷物は、
何年経っても、心をときめかせてくれる。喜々として並べる私の傍らで、夫が目を丸くして見ている。
「日本の商品は、どれもきれいに包装されているから、高級品とそうでないものの区別がつかないね〜」
あら、全部、高級品よ。金銀パッケージのポッキーも、金文字が施された剣先するめいかも。

  

 November 27, 2003 ハッピー・サンクスギビング!

今年は初めてターキーを焼いた。
どうなることかと思ったが、とてもうまくいった。
ごちそうをたっぷりと食べ、本当にいい一日だった。

わたしたちを取り巻くさまざまに感謝しつつ、ハッピー・サンクスギビング!


ドキュメント:サンクスギビングデー

  

 November 26, 2003 インド行き

あと2週間と少しで冬の休暇。夫の故郷へ帰省する。
お気に入りの、ガイドブックを1冊と、旅の記録をメモする、罫線のないジャーナルを一冊。

最初の旅はもう、結婚式のことと、あまりの暑さとで、視界が開けていなかったけれど、
今回の旅は、しっかりと目を見開いて、インドの断片を、拾い上げてこよう。

  

 November 25, 2003 サンクスギビングデー支度

27日のサンクスギビングデーを控え、買い物に出かけた。今年は渡米以来初めて、ターキーを焼くのだ。
スーパーマーケットはすっかりサンクスギビング・ディナーのためのディスプレイ。
マッシュドポテト用のジャガイモ、パンプキンパイ用の缶詰、
クランベリーソースにグレイビーソース……。
スタッフィング用の乾燥パンやドライフルーツ、セロリにハーブにリンゴ、タマネギ、ウォルナッツ……。
もちろん、ターキーも、大小さまざまが
ゴロゴロと。重いものは軽く20ポンド(約9キロ)を超える。
赤いキャップ群はホットサイダー用のリンゴジュース。
シナモンやオレンジ、クローブなどのスパイスを入れ、温めて飲むアメリカの冬の風物詩だ。
これを飲むと、冬が来たのだなあ、と思う。
ターキー、うまく焼けるかなあ。うまく焼けるといいなあ。

  

 November 24, 2003 ひとつ

たくさんでいることの、美しさ。

ひとつでいることの、美しさ。

  

 November 23, 2003 達成感

8月末から通い始めた学校も、あと2週間ほどで終わる。
ファイナルの研究論文(Research Paper)を、今日、おおよそ、書きあげた。
はじめはアジアのブレイン・ドレイン(頭脳流出)について書くつもりが、
途中でインドのブレイン・ドレインにかわり、調べているうちに、書いているうちに、
結局は「インド経済のこれから」というような内容になった。
3カ月半前には、決して書きあげることなどできなかったであろうことが、今、できる。
いつからでも、始めれば、実るのだと言うことをも、学んだ。
英語で書いたり読んだりが、苦手だったのに、最近は、なんだか楽しくさえ思える。
これからも、ずっとずっと、鍛え続けていこう。

  

 November 22, 2003 生まれいづる痛み

土曜の夕暮れ。久しぶりにカテドラルまで散歩に出かける。
メイン・エントランスの、頭上に泳ぐ、レリーフ。

The Creation 天地創造。
溶け合い、流れる、人間らの姿。

地獄絵図、のようにさえも見える、そのさま。

  

 November 21, 2003 蘇る日。

慌ただしいときにこそ、リラックスが必要なのだ。だから今日は、フェイシャルに行った。
この春、オープンしたばかりの
リッツ・カールトン・ジョージタウン
ジョージタウンで最も古い建物の一つだった煉瓦工場が、モダンなブティックホテルに生まれ変わった。
煉瓦工場の面影を残す煙突がトレードマークの、ちょっと
奇妙な風情のホテル。
ゆったりとしたスパの個室には、蘭の花があちこちに散りばめられていて、なんだかとても、姫の気分。
うっとりするほど心地よいフェイシャルは、最初の10分ほどを堪能しただけで、惜しくも深い眠りの中……。
ミストサウナに入り、シャワーを浴び、この上なく爽やかな気持ちで、
ラウンジへ。
よく冷えた白ワインを飲みながら、読み物をしながら、夫が来るのを待つ金曜の夜。
Mストリートに新しくできた、地中海料理のタパスの店で、ディナーを食べる。デザートも食べる。
さあ、週末は、しっかりと、勉強をしなければ!

  

 November 20, 2003 温かなシーン

学校へ行く途中。見慣れた二人が歩いている。
英語の勉強のため、渡米している夫婦。妻はわたしのクラスメイトだ。
声をかけようとした瞬間、言葉をのみ込む。
重たいテキストが入った、妻のバックパックと、自分のバックパックとを、夫が両脇に抱えている。
二人が語らいながら、歩くその光景が、なんて温かい晩秋の朝。
急いでカメラを取りだして、一枚。
そうして、大きな声で、叫ぶ。
「おはよう!」

  

 November 19, 2003 誘惑

ファイナルの資料を読み込もうと、久しぶりにバーンズ&ノーブルのスターバックスカフェへ行く。
エスカレータを上がった正面がクッキング・ブックのコーナーで、毎度のように立ち止まってしまう。
平積みにされた魅惑的な本。勉強優先と思いつつも、重たい数冊を両腕に抱え、自分のテーブルに運ぶ。
この書店はこんなことが許されることが、本当にすばらしい。まるでコーヒーが飲める図書館。
深紅の表紙が開いてとばかりの、
Balthezarのクックブック。イーストヴィレッジのフレンチビストロだ。
ページを開けば、いつか夫と食べた
オニオンスープが! 相変わらず、おいしそうじゃないの!
ジェイミー・オリヴァーの、躍動的な料理。なんてかわいい
Slow-roasted tomato bread
マーサ・スチュワートのクリスマス・クックブックや、
ブレッド・バイブルや、ウイリアムズ・ソノマのベイキングブック……。勉強の合間に眺めているのか、眺める合間に勉強をしているのか……。

  

 November 18, 2003 頭脳流出……。

学校も残すところ1カ月弱、ファイナルのプレゼンテーションのためにオーダーしていた本が、今日届いた。
インドのBrain Drain(頭脳流出)に関する専門書。新しい本のはずなのに、どうして古びてるの? 
しかも、紙が……。濡れた枯葉を乾かしたような、何とも言えない匂いがする。……率直に言って、臭い。
1999年に印刷されたこの本。インドで印刷された本。製本が悪い本。それはそうと。
ページをめくりながら、続出する
難解な図式やチャートに呆然としているわたしに、
「ミホ、その本、全部読むつもり? 無理だと思うなあ」と、傍らにいた夫が、憎々しい一言。
夫の国のことを知ろうとしている健気な妻に、まったくもって、失敬である。が、図星である。
せめて、序章と、結論だけでも、読もうと思う。

 

 November 17, 2003 

愚かな言葉は、はじき飛ばし、養分になる言葉は、深く吸収する、
そんな、よい働きをする「耳」が欲しい。
愚かな言葉に、反応し、せめぎあいをしがちで、些末な混沌。
だから、わたしの耳よ、しっかりと、働いておくれ。
無駄の時間を過ごすよりも、無為の時間を過ごすほうが、よほどいい。

大切な、もう、これからは、大切な、時間なのだ。

不要な言葉類は、体内に蓄積するべからず。身軽に、身軽に。

 

 November 16, 2003 もっと、街の灯

発行してから1年以上が過ぎた。今でもときどき、読者からのメッセージが届く。
行間からさまざまを汲み取って、心に刻み込んでくれた、その気持ちが伝わる、うれしいメッセージの数々。

『街の灯』を販売代行してくれている、ベセスダという町の、ダルマという日本食料品店へ、
新たな『街の灯』を置かせてもらうために、今日、出かけた。
『街の灯』はもちろん、『muse DC』の読者でもある、お店を仕切る二人のおばさま、いやお姉さまが、
お客様に声をかけ、わたしが買い物をする間に3冊も売ってくださった。心底、うれしかった。
荒井様ご夫婦、加藤様、そしてふみこさんのご子息、お買い上げ、ありがとうございました。

次のことばかりを考えて、『街の灯』がおざなりだったこのごろ。もっと多くの人に読んでもらいたい。
帰りの車の中で、そう思った。来年は、ダルマの店頭で、サイン会をさせていただこう。
歳月を重ねても、多分、古くならない。いつ読んでも、心に響く、味わい深い本です。
クリスマス・プレゼントにも、好適です。

 

 November 15, 2003 インド。

我が家の前に横たわるマサチューセッツ・アベニュー、通称大使館通り。カテドラルを起点に坂を下る、各国大使館の続くあたり。インド旅行に向けて、観光ビザを取りに行った。かわいい2頭の象がお出迎え。大使館通りを夫と初めて散歩したとき、この建物を見た夫は「なんてみすぼらしいんだ!」と憤慨した。隣の日本大使館も、味気ない建物だけど、それにしたって、地味だろうこの建物は!と。しばらく歩いた後、豪華なパキスタン大使館の建物を見たときには、一層怒りが高まった。しかし、デュポンサークル近くでガンディー像を見つけ、別の、もう少しきれいなインド大使館を見つけて、最初に見たのは分室だとわかり、ようやく憤慨がおさまったものだった。
それにしても、いくら分室だからとはいえ、このご時世、常時、扉を開け放ち、セキュリティーチェックもなく、なんと大らかな、大使館ではあることだ。

インド。夫の生まれ育った国だ、というだけで、一度しか行ったことがないのに、深い深い、とても深い愛着。

 

 November 14, 2003 日溜まりランチ

ジョージタウンの、ウィスコンシン通りに面したイタリアンで、友人とランチをとる約束をしていた。
授業の合間を縫って出かける予定だったけれど、午後の授業が休講になった。ふっと気分が軽くなった。

風が冷たくて、青空が澄んだランチタイムは、白ワインと温かなパンがよく似合う。
そういえば、「ギリシャ旅情」(『街の灯』)のあのときも、こういう匂いのする午後だった。

マリナラソース(トマト風味のソース)とゴートチーズが添えられた、香ばしいナスのフライ、
ホワイトピザ(各種チーズとガーリックのピザ)、そしてエビや野菜が巻かれたロールサンド。
そんな料理を分け合いながら。食後の、カプチーノに添えられたビスコッティもまた、おいしい。
寒い日は、窓辺の暖かなテーブルが、ことのほか幸せな場所に思える。

 

 November 13, 2003 冬が来た日

見事な朝焼けで一日を始める。
しかしふと気づけば、
かき曇る空
家を出る頃には、街中、風。あちこちで、つむじ風、つむじ風。
枯葉が舞う。ぐるぐる舞う。至る所で舞う。
とうとう来た。冬の風。

ロシア大使館前の坂道を、息を切らしながら、上り帰る午後。
寂寥とした灰色の空が。いかにも黒い、冬枯れの木が。
とうとう、冬が来た。

 

 November 12, 2003  見事な切れ味!

アメリカじゃ、10本前後ものナイフがセットになって売られていることが多い。
大した料理をするわけでもないのに、何故にそんなに? と、嫌味を言ってしまいたいくらい大げさな包丁群。
さて、我が家の包丁は、いずれも今ひとつの切れ味で、包丁研ぎもいまひとつの働きだったので、
パン切りナイフを買うついでに、新しい包丁を新調した。「グローバル」と言う名の、日本製の包丁。
選択肢が多くて迷うほど、何本もあった。商品説明には「サムライの刀作りの伝統と技術が云々……」。
なぜかその一文に引かれて、選んでしまった。ヘンケルよりも、サムライの刀。
今日、その包丁が届いた。もう、面白いように、スパスパスパスパ切れる。
パンもきれいに、スイスイと、ほんとうに気持ちよく切れる。無闇に何枚も、何枚も、切ってしまう。
だからフルーツナイフも買おうと思う。フルーツを剥いたり切ったりするのが楽しくなりそうだ。
しかし、しかし。
「具良治」という当て字は、なかなかに脱力。暴走族じゃないんだから。

 

 November 11, 2003 枯葉歩道

木がたくさんあるので、葉がたくさんある。葉がたくさんあるので、枯葉もたくさんある。
木は毎年、大きくなるので、枯葉は毎年、増えていく。
朝な夕なに、枯葉を掃除する人がいる。
かき集めて袋に詰める人がいれば、掃除機と反対の働きをする機械で枯葉を飛ばし、
ひとところに集めるだけの人もいる。
枯葉を「吹き飛ばす」、その掃除法を、どうにも理解できない。風が吹いたら元の黙阿弥。

山と積もった枯葉が、掃除人の目を盗んで、歩道を埋め尽くしている。
そこを踏みしめて歩く。

 

 November 10, 2003 鍋夜

ただいま! と玄関のドアが開く。冷たい耳と、冷たい頬をして、夫が帰ってくる。
キッチンでは、鍋がぐつぐつ言っている。電気釜が「ピーッ」と炊きあがりを知らせる。
鍋をのぞき込み「オ・イ・シ・ソ!」と言ったあと、夫は急いでシャワーを浴びに行く。

遠い冬、東京で一人暮らしをしていたときに買った土鍋が、今年もしばしば食卓に上る季節。
韓国系のスーパーマーケットで仕入れた白菜や、シイタケや、豆腐や、サーモンや、白滝や、ネギ。
三つ葉や春菊はないけれど、どうということはない。たまに鶏肉も入れる。豚しゃぶにすることもある。
冷たい風吹く日。何もかもを一気に入れて、ぐつぐつと煮込んだだけのこの鍋が、ことのほか、おいしい。
部屋を湯気でいっぱいにしながら、ポン酢で食べる鍋。いつの間にか、身体がぽかぽかになっている。
どんな国に住んでも、どんな国の人と一緒でも、冬の鍋というのは、いいものだ。

 

 November 9, 2003 金魚と犬

遠い昔、幼稚園児だったころ。家の庭に咲いた花を、時折、母が幼稚園に持たせてくれた。
多分、私が初めて幼稚園に持っていった花は、金魚草だったように思う。
花の両脇を指先でつまんで、そっと押さえると、金魚が口を開くように、花が口を開く。
そのさまが、とても興味深くて、何度も押さえてみた。金魚草は、好きな花の一つだった。

夕べのパーティーで、友人が金魚草を持ってきてくれた。
アメリカでは、金魚草ではなく「ドッグフラワー」と呼ばれている。
確かに、金魚草をしみじみと眺めていると、ヒゲや眉(?)の長い、シュナウツァーのように見えてくる。
口をパクパク開けてみると、尚更のこと。

 

 November 8, 2003 ポットラック・パーティー!

クラスメイトと先生、その家族たちを招いての、ポットラック・パーティー。
それぞれが、料理を持ち寄る、おいしいパーティー。
メキシコ、アルゼンチン、コソボ(アルベニア)、日本、韓国、台湾、アメリカ、インド……。
世界各地の料理が、テーブルをいっぱいに埋め尽くす。
前菜からデザートまで、あれこれとても、おいしくて、おいしいと、よりいっそう、会話も弾んで、
お酒を飲みながら、料理を食べながら、笑顔のたえない、楽しい夜。

窓の外では、皆既月食。パーティーが始まった時刻から、満月が少しずつかけ始め、
どんどん月が小さくなり、やがて見えなくなってしまうさまを、時折眺めながら、なんてすてきな夜。

-Other photos

 

 November 7, 2003 オーロラの朝。

窓辺に、ブラインドに、下げられた、いくつものクリスタルの粒。
朝起きて、ブラインドを開くと、朝日が部屋いっぱいに流れ込んでくる。

クリスタルを通過した光は、部屋中に、七色の光を散りばめながら、
揺らしながら、
新しい朝を届ける。

天気のいい朝は、それだけでもう、すばらしい。
ゆらゆら、ゆらゆら、
オーロラの朝。

 

 November 6, 2003 巨大自動販売機

メリーランド州ベセスダにある、友人宅を訪れたときに見つけた大きな自動販売機。
軽食、飲料洗剤にペットフードなどがたっぷりと。レンタルビデオやDVDもあった。

我が家の界隈は、閑静な住宅街で、規制があるのかどうかしらないが、
日本で言うところの「コンビニエンスストア」的なデリカテッセンやグローサリーストアが一切ない。
一番近いところでも、5分ほど歩いたところにあるスーパーマーケット。
アパートメント・ビルディングの地下にでも、こういう自販機があると、
ちょっと何かを切らしたときに、便利なのだけれどなあ。

 

 November 5, 2003 思い出ノート

本棚の片づけをするたびに、ついつい開いてしまう、もう数十冊にもなった、思い出ノート。
いつからだろう。仕事以外の旅行の折には、必ずジャーナルを書くようになっていた。
ある旅は、鉛筆とノート。ある旅は、色鉛筆とノート。ある旅は、ボールペンとのりとノート。
そしてある旅は、ボールペンと色鉛筆と、のりとカッターナイフとノート。
書きたくないときは、描き、描きたくないときは、ペタペタと貼り、貼りたくないときは書く。
渡米して、A男と出会って、一人旅はめっきりと減ったけれど、旅ノートの習慣は続く。
カフェでコーヒーを飲みながら、レストランで食事を待ちながら、交代に、ジャーナルを書く。
私の思い出も、私たちの思い出も、ノートをめくれば、たちまち鮮やかに蘇る。
街の匂い、風の具合、取り巻く音、そのとき思いめぐらせていたこと……。
写真では決して残せない、私だけの、私たちだけの、大切な、思い出ノート。

 

 November 4, 2003 遅刻の朝。

下り坂すいすい、通学路。
枯葉踏みしめ、枯葉の匂いかいで、鼻歌歌って、
を見て……。
太陽がまぶしくて、青空が凛々しくて、吹く風がほどよくて、どこまでも、歩いていけそうだ。

冬眠の準備に精を出すリスを見守り、悪趣味なハロウィーンの飾りを取り去らないに悪態をつき、
すれ違う人がいないのをいいことに、鼻歌どころか、かなり大きな声で歌いながら、ご機嫌な朝。

途中にある小さな公園から光が溢れていた。淡い色した枯葉が舞い降っていた。
静かに静かに、ハラハラと舞い降っていた。この瞬間は、もう、二度とない。だから少し、眺めておこう。
そうしているうちに、遅刻してしまう。

 

 November 3, 2003 ごまちゃん

ハロウィーンの夜。

日本人のクラスメイトが連れてきた、猛烈にかわいいごまちゃん。
日本からはるばるやってきた、5歳児ごまちゃん。
カボチャだかニンジンだか、よくわからない被り物を施されたごまちゃん。
歩道を歩いていると、四方八方から歓声が上がり、誰よりも人気者だった。

わたしも、犬が飼いたくなった。
この次、引っ越すときには、夫も大好きな、犬を飼うことにしよう。

 

 November 2, 2003 戦争に満たされている……?

紅葉のただ中を、夫と車でヴァージニア州へ。コリアン・スーパーマーケットへ行くのだ。
アーリントン。左手に、硫黄島
(Iwo-jima)の碑が見えるあたり。
「そういえば、
エノラ・ゲイの展示、始まっているんだよね。ミホ、どう思う?」と夫。
その矢先、信号待ちの、前の車のナンバープレートに刻印された「Pearl harbor survivor」の文字。
そういう、ナンバープレートがあるのだという驚き。
スーパーマーケットで、アジアの梨が売っていた。包みを見ると、「新高梨」。
「新高」と聞いてとひらめくのは、「ニイタカヤマノボレ」。台湾最高峰「玉山」の、日本統治時代の名前。
無論、この梨の新高とは、無縁だろうけれど。
過去、現在、未来。ここに住んでいると、いつまでもどこまでも、戦争の話が続けられる。


と、ここまで書いたあと調べてみたら、「新高梨」とは日本の梨の品種だった。しかも、新潟と高知の梨を掛け合わせてできたから「新高梨」だって。もう、全然、新高山とは関係なかった。夫がアジアの梨を好むので、奮発して一箱9個入りを購入した。

 

 November 1, 2003 インド式パーティー

パーティーシーズンの到来。今日は、インド人CEOらのグループが主催するパーティーへ。
夫婦同伴で、とあるCEOの邸宅に招かれる。
玄関のドアを開けると、地上3階と、その上にあるキューポラまでの、吹き抜け
突き当たりには広々としたパーティーフロア。天窓からは空が望める。その両脇にはいくつかの
部屋部屋
一画にはバーカウンターがあり、ゲストたちは自由にドリンクを楽しめる。
地下には広々としたダイニングルームがあり、まるでレストランのよう。
美術品の収集が趣味だという夫人によって集められた世界の名品が、家全体に散りばめられていて、
全体に不調和な節もあったが、一つ一つを眺めるのは、とても楽しいものだった。
今日もまた、たくさんの人々と出会い、新しいことを知り、楽しい夜だった。

 

 

   

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