マンハッタン発 週末ドライブ Vol. 1

英国情緒漂う海辺のリゾート ケープ・メイヘ

CAPE MAY, NEW JERSEY


以下に紹介する記事は、muse new york Vo. 1(創刊準備号)に掲載されたものです。
データは1999年7月の取材時に収集しています。あらかじめご了承ください。

 

マンハッタンの郊外には、美しい自然に抱かれた魅力的な場所がいっぱい。緑が爽やかな季節だからこそ、街の雑踏から抜け出してリフレッシュしたいもの。車を持っていない人も、時にはレンタカーを借りてドライブしてはいかがですか? 

今回はマンハッタンから車で約3時間、ニュージャージーの南端にある海辺の街、ケープ・メイをご紹介します。

●アトランティックシティを経て、ケープ・メイへ

 マンハッタンからリンカーントンネルをくぐり、95号線(サウス)を経てガーデンステートパークウェイ(以下GSP)に乗る。ここから一路、GSPの終着点、ニュージャージー州の南端にある、ケープ・メイを目指す。緑の中に横たわる爽やかなドライブルートは、景観も美しく快適だ。ケープ・メイに到着するまでに現れる計7カ所の料金所がやや面倒。すべて一律 35セントなので、小銭を用意しておいてスイスイと通り抜けたい。途中、カジノでおなじみのアトランティックシティを通過する。旅の前後に立ち寄るのもいいだろう。

 いよいよケープ・メイに到着したらGSPを降り、標識に従って109号線へ。運河に架かる橋を渡るとすぐに港が見えてくる。右手にロブスターハウスなどのレストランが、左手にホエール&ドルフィンウォッチングのツアー発着所が現れる。更に橋を渡り、緑いっぱいの閑静な住宅街をくぐりに抜けると、やがてビーチに面して広がるケープ・メイのダウンタウンに到着だ。

 

●ビクトリア様式のロマンティックな家並みを散策

 ケープ・メイは、かつて捕鯨と漁業の街として栄えていた。その一方、アメリカ合衆国が建国される以前から、リゾート地としても知られてきた歴史のある街。ダウンタウンのオーシャンストリートやジャクソンストリート沿いには、英国統治時代の面影を色濃く残す、19世紀ビクトリアンスタイルの家並みが続く。淡いピンクやブルー、グリーンなどのパステルカラーに彩られた瀟洒な家々は、B&B(ベッド&ブレックファスト)として訪れる人々を温かく迎えている。どのB&Bも、美しくガーデニングされた庭があり、テラスの椅子でくつろぐ人々の姿が見られる。シーズンは込み合うので、早めに予約を入れて、ロマンティックな宿に滞在したいものだ。ビーチ沿いにはホテルやレストラン、ショップが点在するほか、レンタサイクルやパラセイリングのオフィスもある。オンシーズンのビーチは、大勢の人々で賑わう。

 ダウンタウンの中心部はワシントンストリートモール(写真左上)と呼ばれるエリア。わずか3ブロックほどの小さなプロムナードだが、オープンテラスのレストランをはじめ、アイスクリームやお菓子のショップ、ファッションブティック、個性豊かな雑貨店や土産物店などが軒を連ねている。一軒一軒のぞきながら、のんびりと散策するの楽しい場所だ。  

●軽く車を走らせ、灯台のビーチへ

 ダウンタウン以外にも、ケープ・メイの魅力はいっぱい。どうやって楽しむかを決めるためにも、まずはワシントンストリートモールの北側、ラファイエットアベニューにあるウェルカムセンター(観光案内所)へ行こう。ここには街のイラストマップをはじめ、クジラやイルカ見学ツアーのカタログ、B&Bのインフォメーションなどが豊富に用意されている。

 ダウンタウンの賑やかなビーチよりも静かなビーチでくつろぎたいなら、ケープ・メイ・ポイント国立公園にある灯台(写真下)を目指そう。ダウンタウンから西へ向かってサンセットブールバードを走り、ライトハウスアベニューで左折する。灯台の向こう側に、白砂のビーチが延々と広がっている。人が少なく静かで、のんびりできるのがいい。ビーチの出入口にシャワーがあるだけで、更衣室などはないが、灯台の案内所に公衆トイレはある。

 ケープ・メイ・ポイント国立公園内には野鳥保護区(写真下)もある。ここは東海岸でも有数の野鳥観察区として知られ、毎年数多くの人々が訪れている。海に向かって広がる草地には、ガマの穂が揺れる湖沼がたたずみ、渡り鳥たちの休息の場となっている。カモメなどの海鳥をはじめ、白鳥やカモ、ツルなどが飛来するほか、アメリカワシやハヤブサ、タカ、フクロウなどの姿も見られる。甲高くさえずる鳥たちの声を聞いたり、小道を横切るウサギに出合ったりと、心ゆくまで自然に親しめる場所だ。このほか、国立公園内にはバーベキューができるキャンプ場や、ストライプバス、カレイなどが釣れるフィッシングポイントもある。

 夕暮れ時にはサンセットブールバードの突き当たりまで行き、サンセットビーチで夕日を眺めるのもいい。

 

 

●食事はシーフードレストランで

 ケープ・メイにはシーフードを使った料理が楽しめるレストランが点在している。ダウンタウンで最も人気があるのはバンクストリート沿いにある 410 BANK STREET というフレンチ&カリビアンのレストラン。シーフードのほか、ステーキも楽しめる。また、同じ通り沿いにあるイタリア料理店 FRESCOS も評判が高い。

 海辺の雰囲気を味わうなら、下のコラムで紹介している THE LOBSTER HOUSE がおすすめ。シックなインテリアのダイニングのほか、帆船の中やデッキで食事ができるカジュアルな雰囲気のレストラン、フィッシュマーケットなども併設している。予約を受け付けておらず週末などは込み合っているが、デッキで海風を受けながらビールを飲みつつ、テーブルがあくのを待つのも悪くない。この店ではぜひ、歯ごたえがよく甘みのある新鮮なロブスターを味わいたい。

  小さい街ながらも魅力がいっぱいのケープ・メイ。できれば数日滞在して、のんびりとビーチで過ごしたり、自然に親しんだりしたいものだ。アトランティックシティを経て、ケープ・メイへ

 


ロブスターハウス

GSPを降り109号線に入って間もなく、ダウンタウンに行く途中の左手にある。クラシックな雰囲気の店内からは、この店の漁船が停泊する港が見渡せる。茹でたてのロブスターは絶品。1ポンド($ 18.95)から3ポンド($ 36.95)まで。このほか水揚げされたばかりの多彩なシーフードが楽しめる。
LOBSTER HOUSE (609) 884-8296


アンクルビルズ パンケーキハウス

Beach DriveとPerry St.の角にある海辺のレストラン。朝食やランチにぴったりのパンケーキが揃う。シンプルなパンケーキがおすすめ。ナッツ入りはいただけないのでご注意を。
UNCLE BILLユS PANCAKE HOUSE (609) 884-7199

 


クジラ&イルカ見学ツアー

ケープ・メイでは、クジラやイルカのウォッチングが楽しめる。GSPを降り109号線に入って間もなく右手に現れる港から、2社がツアーを出している。
WHALE WATCH & RESEARCH CENTER (609) 898-0055
CAPE MAY WHALE WATCHER (609) 884-5445


コールドスプリング・ビレッジ

GSPを降りてすぐ、ケープ・メイに入る前にコールドスプリングという小さな街がある。ここには19世紀のこの界隈の日常生活を再現したヒストリック・コールドスプリング・ビレッジと呼ばれる見どころがあり、往年の素朴な生活の様子を目の当たりにできる。5月から10月にかけては、さまざまなイベントも催されている。
HISTORIC COLD SPRING VILLAGE (609) 898-2300


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