SCENE30: ヴァラダラジャン宅。ほとばしる、家族愛。
BANGALORE SEPTEMBER 10, 2005/ DAY 12

バンガロア最後の夜は、スジャータ&ラグヴァンの家へ。
嬉々として、ワインのボトルをあけるロメイシュ。
グラス片手に、インドのスナック菓子、ナッツつまみながら、我々の未来を語る。

やがてテーブルには、スジャータの手料理が並び、
各々、皿に盛って、再び、飲みながら、食べながら、意見を交わす。

この小さな家族の面々に、どんなにか愛されていることだろう。
夫も、そしてわたしも。

損得勘定のないアドヴァイスに、うっかり目が潤む。

自分たちの選択に責任をもって生きているからこそ、
自分たちの生き方が明確だからこそ、
あるいは、「そうあろう」としているからこそ、
人にも寛大に、誠実になれるのだろう。

彼らは、感謝しながら生きている。

まるで、表層は異なるのに、悉く異なるのに、通い合えるのも幸運。
こんなにも親身になってくれる人が存在しているということを、
しっかりと心に留めて、Appreciateして、毅然としてゆこう。


【9月10日(土)】

早くもバンガロア最終日となった。明日は朝の便でニューデリー入りだ。

さて、今日は日中、再び不動産物件巡り。夫もバンガロアの住環境を知りたいと言うので、一昨日、訪れたところを含め、数件、不動産業者とともに巡ったのだ。

新しいアパートメントビルディングやショッピングモールが続々と誕生しているエリア、コラマンガラにも足を伸ばした。前回来た時よりも、いっそう建築ラッシュの様相を呈しており、何やらたいへんな喧噪だ。白亜のアパートメントビルディングも、なんだか埃っぽく見える。

一旦ホテルに戻り、ひと息ついてから、ヴァラダラジャン家(スジャータたちの家ね)を訪問するべく雨降りの中、車を走らせる。夕方のバンガロア。更には雨で猛烈な渋滞だ。20分程度でつくはずの距離なのに、市街を通過せねばならぬため、1時間半もかかってしまった。

スジャータは、いつものように料理を用意してくれていた。デザートには、レモンパイにアップルパイ。久々の家庭料理に、わたしたちの気分も落ち着く。

今夜の会話は、もっぱら私たちの今後。ロメイシュにインド行きのことはこれまで秘密にしていた。期待させて、もしも行けなくなった時に、がっかりさせたくなかったからだ。今回、隠している状況ではなくなり、夫が説明した。

ロメイシュは、わたしたちが思っていた以上に、「父親」だった。などというのは、とても失礼な書き方かもしれないけれど。いつもの彼の、ふらふら〜んとした様子とは一変して、かつてビジネスマンとして、ロンドン、クェート、そしてインド各地を転勤した自分の体験を照らしながら、あくまでも夫の立場を尊重して、アドヴァイスをしてくれるのだった。

いろんな意味で、はっとさせられた。

スジャータも、ラグヴァンも、わたしも、夫も、皆がそれぞれに異なるキャリア、異なる嗜好、異なる価値観を持っているように見えて、深く通じるものを潜ませているのは、なぜだろうか。その漠然とした温かな感情の所在を突き止めようとするのだが、よくわからないままでいる。


バンガロア中心部からコラマンガラに向かう途中、「大理石店通り」を通過した。

道路の左右に、大理石の店が次々に現れる。驚くほど大きな一枚岩(一枚石?)も見かけた。

実にさまざまな色や模様の大理石があるものだ。

えいやっ!

ヴァラダラジャン宅にて。くつろぐ似たもの父子。背後の龍は先日、ロメイシュ、ウマと4人で出かけたミャンマー旅行時の土産らしい。ミャンマーはよかったらしい。わたしは、ミャンマーにもブータンにも行きたいのだ。

 

『縁あって父娘』

これもミャンマーで買ったらしい。最近、仏像の存在感が気になる。そういうお年頃になってきたのかしら。

このワニもミャンマーものらしい。伝統的な楽器を土産物仕様にしたものらしい。旅先で大物を購入する、なかなかに大胆な夫婦である。

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