8/19/2000 セントラルパークでのんきな一日

 今日は、本当に久しぶりにのんびりとした土曜日。ここしばらく、週末も何かと仕事に追われていて、気持ちが休まらなかったけれど、今日は急ぎの仕事もないので、目覚めた時からリラックスしていた。

 久しぶりにいい天気だ。今年の夏は雨が多く、しかも涼しい日が続いていて余り夏らしくない。今日も天気はいいけれど、風が涼しい。今年はまだビーチにも行っていないのに、このまま秋になられては困る。なんとか時間をとって、ケープメイにでも出かけたい。

 シリアルで簡単な朝食をすませ、インターネットで日本の新聞を読み、簡単に部屋を片付ける。ニューヨークタイムスの、山のようにたくさん届けられる日曜版をテーブルいっぱいに散らかして、記事を読んでいるボーイフレンドのA男が、今日のプランを提案する。

 映画も買い物も、ジョギングも、ダウンタウンの散策も、今日は気が進まない。とはいえ、天気のいい日に家にいるのは、なんだかもったいない。というわけで、セントラルパークでボーっとすることにする。

 早速、お弁当の準備。うちには電気釜がないので、鍋物用の土鍋で御飯を炊く。そもそも、アメリカに来た当初はこちらで購入したものすごく古いモデルの中国製電気釜(白い本体で、スイッチが1つしかないもの。昭和40年代の我が家も使っていた)があったのだが、それが壊れて以来、土鍋を使っている。これで炊くごはんは、なかなかおいしいのだ。底の方にパリっとおこげができたりして、それに塩を振りかけて食べると、おかきみたいでおいしい。炊飯の時間も電気釜と変わらないか、むしろ早いくらいだ。

 おにぎりは、あり合わせの材料で2種類作った。かつお節にしょうゆをまぶし、ごまをふりかけたものをごはんに混ぜ合わせたものと、永谷園のすし太郎をまぜたもの。これらに海苔をたっぷり巻いて、できあがり。

 ここしばらく買い物に行っていなくて、冷蔵庫の買い置きがないから、おかずは作れない。近所のデリ(デリカテッセン)でチキンサラダとポテトチップスを買って、セントラルパークへ向かう。その途中、リーボックのスポーツウエアショップで、ジョギングシューズがセールで半額だったので購入。一時期、ナイキのシューズが流行して、ものすごくヘビーでごてごてしたデザインのシューズばかりが出回っていたけれど、最近はそれに加えて、つるんとした宇宙人のような、は虫類のようなシューズがはやっていて、かなわない。私はオーソドックスでシンプルなデザインが好きなのだが、そういうものを見つけるのはなかなか難しい。ところが、そのショップには「Reebok Classic」なるデザインも置いてあった。それを買おうとしたのだが、店員は、べつのごてごてしたものが、底もしっかりしているしジョギングにいいと、しきりに薦める。結局、あれこれと履き比べ、履き心地を優先してごてごてを買った次第。

 セントラルパークの、一面芝生が敷き詰められたシープメドウ(Sheep Meadow: 直訳すると、羊の牧草地)という広々とした場所へ行く。すでにたくさんのニューヨーカーたちが、水着姿で甲羅干しをしたり、お弁当を食べたり、フリスビーをしたり、寝転がって本を読んだりと、みんな思い思いに、気持ちよさそうに過ごしている。みんな、がんがんに直射日光を受けるのが好きなので、木陰は意外にがらんとしている。

 

 

 私達は風通しのよい木の下に、大きなブランケットを敷く。早速、アルミホイールに包んだおにぎりを広げる。ん〜。おいしい。海苔がしっとりとおにぎりになじんだ、その香りがとてもいい。

 

わざわざ写真を撮るほどのものでもないのですが……

 

 やっぱり、お弁当と言えば、おにぎりよね。どうして外で食べるおにぎりは、こんなにおいしいんだろう。なんとも幸せな気分になる。インド人のA男もおにぎりが大好き。特にすし太郎ファンの彼は、今日の具に満足している様子。

 空は澄み渡って、大きな白い雲はどんどん風に流れ、木々の葉はさやさやと音をたてながら揺れ、芝生の上に木漏れ日が落ちる。おにぎりを4つも食べて満腹になったら、急に眠たくなってきた。ごろりと横になり1時間近くお昼寝。気持ちいい。途中で、蟻に噛まれてチクッと痛くて目が覚めたけれど。

 

寝転がった時に見えたものは、木の梢と空

 

 日が陰ってくるとともに、風もどんどん涼しくなってきて、眠っていては風邪をひいてしまいそうになったので、寝転がったまま本を読む。よその子供が食べているアイスクリームがおいしそうに思えて、ベンダー(屋台)にアイスクリームを買いに行く。バニラにチョコレートがコーティングされたマグナムというバーアイス。チョコレートが濃厚で、とてもおいしいのだ。

 日が傾き始めると、あたりの風景は少しずつ黄金色に染まり始める。その木漏れ日の、なんとも美しいこと。

 土の呼吸と、緑の気をたくさん身体に受け止めて、さっぱりした一日だった。


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